【日本の解き方】落第点のNHK中期経営計画 スリム化も値下げも不十分…世の中の動き見えているのか - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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落第点のNHK中期経営計画 スリム化も値下げも不十分…世の中の動き見えているのか

 NHKが2021~23年度の中期経営計画を発表し、受信料を23年度に値下げすることを明らかにした。

 全4ページの中計の最初のページで、「正確、公平公正で、豊かな放送・サービスをいつでもどこでも最適な媒体を通じてお届けし続ける」と書かれ、「既存業務を抜本的に見直し、放送波を整理・削減するとともに550億円規模の支出削減を行い」「スリムで強靱な『新しいNHK』となる」としている。

 そのための構造改革として、3ページ目に、(1)保有するメディアの整理・削減(2)インターネット活用業務(3)「受信料の価値を最大化」するためのマネジメント施策-を掲げている。

 最後の4ページ目に、20年度予算の事業収入7204億円は、21年度に6900億円に減少し、22年度6890億円、23年度6880億円とほぼ横ばいを見込んでいる。

 一方、20年度予算の事業支出7354億円は、21年度7130億円、22年度6890億円、23年度6800億円と徐々に減少する。その中で、今回の目玉である受信料の値下げがある。値下げ原資は700億円なので、せいぜい1割程度の値下げだろう。

 コロナによって巣ごもり需要が増加するはずだが、受信料徴収のための訪問ができないので、受信料収入は低下する。

 こうした環境でインターネット活用業務という柱を立てているが、収益貢献にはほど遠い。

 また、経営のキモとなる放送波の整理は、衛星波1つ、音声波1つにとどまっており、地上波にはまったく言及していないので、スリム化や経営資源の活用もできていない。

 本コラムの読者であれば、筆者が昨年「Eテレ」の周波数の売却論で世論をにぎわしたことをご存じだろう。Eテレの周波数を整理し、文部科学省が新年度から始める「GIGAスクール構想」に乗っかり、Eテレのコンテンツをインターネットで流して収益化することを主張したのだ。

 これは、中計の3つの柱のうち、(1)と(2)に相当するもので、NHK改革そのものだ。

 同時に、Eテレの周波数を携帯事業者が利用できるようになるので、今後の通信事業の発展や、さらなる携帯料金値下げにもつながる、日本全体の改革にもなり得るものだ。

 今回のNHKの中計を作った人たちは、文科省のGIGAスクール構想の動きを分かっているとは思えない。これは、文科省の「一丁目一番地」の施策なので、NHKが常に強調する「あまねく伝える」という理念にも沿うものだ。

 そもそも経営計画は、社会の動きを読みながら、自社で最適な計画を作るものだが、NHKは自分の世界に閉じこもり、文科省など世の中の動きが見えないのだろうか。

 (1)保有するメディアの整理・削減と(2)インターネット活用業務を掲げておきながら、それぞれ不十分な施策しか打ち出せず、スリム化も不十分、受信料値下げも不十分となる。

 というわけで、NHK中期経営計画は及第点をつけられない。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

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