【勝負師たちの系譜】指し盛り過ぎても活躍する中年棋士 「最先端の世界」も強い遠山六段の心構え - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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指し盛り過ぎても活躍する中年棋士 「最先端の世界」も強い遠山六段の心構え

 若くて才能ある棋士が活躍するのは、考えたら当前である。

 そんな中、指し盛りが過ぎても若い棋士に交じって活躍する棋士がいる。

 まずは本欄にも何度か登場した、中村修九段。谷川浩司九段と羽生世代の中間の世代で、55年組(昭和55年=1980年に棋士になった5人衆)の一人だ。しかし順位戦のB級に残っているのは、中村だけである。

 王将位2期の実績があるが、50代後半になった昨今は、2期前に取った降級点(2つで降級)を消せないまま、苦戦をしていた。

 ところが今期は6局目を終えた時点で、5勝1敗の昇級候補。その後ライバルに敗れて昇級は遠のいたが、早々と6勝して降級点を消した。

 降級点を持っている年輩者がそれを消すのは容易でなく、私もかつて63歳でB2の降級点を消した最年長棋士という、あまり嬉しくない記録を立てたこともあった。

 中村は年度の通算でも勝ち越しで、この歳では際立っている。

 もう一人は、同じ55年組の高橋道雄九段。こちらはC級1組だが、現在6勝2敗で6番手だ。増田康宏六段、高崎一生七段が無敗(8勝)で走っているから、昇級は難しいが、さすがタイトル5期、A級13期の実力者だけのことはある。

 今回特に紹介したいのは、C級2組所属の遠山雄亮六段。彼はまだ41歳だから、中年棋士ではないが、三段リーグを12期(6年)戦い、26歳の年齢制限ギリギリで四段になった、苦労人だ。

 棋士でありながら最先端の世界に強く、将棋連盟のWEB編集長を長くやっていた。

 他に才能があるせいか、30代前半で降級点2つを取り、C2から降級の危機に対峙していた。年配者ならその時点で、フリークラスに転出するところだ。降級点を3つ取って落ちれば、10年しか現役はできないが、自ら行けば15年保証されるからだ。

 しかし降級を賭けて勝負し、3期前に見事8勝2敗という、昇級者と同星で降級点を1つ消した(消せるのは1つのみ)。

 それからは、毎年勝ち越しで、今期も6勝2敗で7番手。下を向いていた時代が嘘のように勝っているのを見ると、つくづく勝負は気持ちの持ちようが重要、ということを思い知らされる。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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