【軍事のツボ】ブルーインパルスはコロナ禍をどう乗り越えようとしているのか (1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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ブルーインパルスはコロナ禍をどう乗り越えようとしているのか (1/3ページ)

 航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」は1960年8月、浜松基地第1航空団第2飛行隊内に「空中機動研究班」として誕生した。2020年は発足から60年の記念すべき年ながら、コロナ禍で航空祭などが軒並み中止となり、大勢の観衆の前に姿を見せることがほとんどできなかった。数少ない機会は、昨年3月の東京五輪・パラリンピックの聖火到着式と、5月の東京上空飛行ぐらいだったが、隊員らは訓練を続けた。ハレの舞台がない“非常時”を、彼らはどのようにして乗り越えようとしてきたのか。

 ブルーの2021年の「初飛行」が1月6日、ホームグラウンドの松島基地(宮城県東松島市)で行われた。6機のジェット練習機T-4が一列になって次々と離陸していった。

 飛行を前に1番機の後席に乗る平川通3佐(41)は1冊のノートを見直した。

 「右に曲がりやすい」「G(加速度)が弱くなる」

 書き込まれているのは、飛行の間隔が空いた際に出やすい自分の癖や手順の注意点だ。

 「同じように飛行をしていると慣れが出る。忘れていることもあるので、休暇や悪天候で飛べない日が続いた後には見直す」

 飛行の間隔が空いた時以外でも、時間がある時や、月曜からの訓練に備え日曜に見直すこともある。こうして「いつも通りを心がける」という。

 年頭の初飛行に際して隊員が最も注意したのは「飛行の安全」だ。6番機の眞鍋成孝1尉(34)は「操縦には感覚に依存する部分が多い。スティック(操縦桿)の(操作)圧力は何ポンドといっても、それを出すのは人間の感覚。だから飛行初めに当たっては安全に特に留意する」と強調する。

 「1週間空いただけでも違ってくる」(眞鍋1尉)という感覚を失わないためにすることは、地上でのイメージトレーニング。空き時間に地上で何度も手順を思い浮かべる。イメージトレーニングを繰り返すことで取り戻せる。

 平川3佐、眞鍋1尉ともに昨年2020年は「TR(訓練待機)」と呼ばれる訓練生だった。ブルーのパイロットの任期は3年。最初の年はTRで、2人乗りのT-4の後席に乗って前席の先輩から学ぶ。「展示飛行操縦士」という空自内部の資格を取って「OR(任務待機)」になった2年目には、独り立ちして展示飛行を行う。そして3年目は展示飛行をしつつ、後輩を指導する。

 眞鍋1尉は2020年4月に配属。訓練を重ね、2021年2月初めに晴れてORに。実は展示飛行がほぼなかったことは、ネガティブな影響ばかりではなかった。「展示がない分、時間が取れて錬成訓練は進んだ。いつでも展示飛行ができるよう、十分な訓練ができた」。

 少し早く同年1月末にORになった平川3佐は「1番機」の役割については、影響があったという。1番機は飛行班長として編隊を率いるが、地上でも劣らず重要な任務がある。展示飛行を行う際の展開先の基地、国土交通省や地元自治体との調整など、実際にやってみて得られることが多い。これらは先輩について学ぶ「見取り訓練」で体得していく。

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