【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】英がTPP参加申請も…米の復帰は困難か QUAD参加なら自由主義国陣営にとってプラス - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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英がTPP参加申請も…米の復帰は困難か QUAD参加なら自由主義国陣営にとってプラス

 英政府は1日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。自動車など輸出品の関税引き下げや、ビジネス目的の往来を容易にすることなどを目指すようだ。ボリス・ジョンソン首相は、香港への国家安全法制の導入や、ウイグル族に対する人権侵害などを続ける中国を批判しており、経済的な「対中包囲網」を意識しているといえる。

 日本の一部メディアは「英国のTPP参加が、米国の復帰に後押しになる」とも報じていた。ただ、ジョー・バイデン大統領となった米国が、TPP復帰を簡単にできるとは思えない。

 共和党のボブ・コーカー上院議員は昨年12月、「TPPに参加しなかったのは、中国にプレッシャーをかける大きな機会を見逃した」と発言した。

 その通りだと思うが、ある米シンクタンクによると、バイデン政権の貿易方針が発表されるのは、今春だという。議員の多くも新政権の増税や規制再強化によって、国内経済がどうなるのかに注目している。つまり、新政権にも、議会にも、多国籍による自由貿易協定の優先順位は低いのだ。

 バイデン氏は昨年の大統領選で、ドナルド・トランプ政権の政策を痛烈に批判していたが、国内製造業の強化を目指す「バイ・アメリカン」に関する大統領令に署名した。トランプ前大統領以上に「TPPを避けたいと」思っている可能性すらある。

 バイデン氏が外交において優先するのは、パリ協定や世界保健機関(WHO)、イラン核合意、国連人権委員会への復帰だろう。もし、TPPに復帰することになっても、関心を寄せる環境分野や労働者に関わる規定については再交渉となるのではないか。

 民主党重鎮であるバーニー・サンダース上院議員や、エリザベス・ウォーレン上院議員などの左派議員がTPPに反対していることから、交渉の長期化は避けられない。そうなれば、22年の中間選挙にも影響を与える。英国はEU(欧州連合)を離脱したため、貿易政策の再構築を急ぐ必要があるが、米国には国内事情からその必要はない。

 このため、TPPを利用したかたちで「中国包囲網」を築くというのは、少し現実的ではないともいえそうだ。

 ただ、英国が、日米とオーストラリア、インド4カ国の枠組み「QUAD(クアッド)」に参加を検討していると、英国メディアが報じたことは、自由主義国陣営にとって安全保障上、明らかにプラスといえる。今後も、英政府の積極的な関わりに期待したい。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

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