【真・人民日報】つまみ食いが過ぎる日本のニュース報道 メディアに隠れた中国の米国観、バイデン政権へのラブコールも - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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つまみ食いが過ぎる日本のニュース報道 メディアに隠れた中国の米国観、バイデン政権へのラブコールも

 日本ではワクチン関連のニュースが連日テレビをにぎわしている。高齢者から接種が始まるのは4月から。しかも課題も山積だという。

 すでにワクチン接種を始めたミャンマーは中国製かインド製かで揺れ、昨年末から接種を始めたシンガポールに続いてインドネシアでは13日から接種を開始し、1月25日から党大会を開いたベトナムでは集められた代表のほとんどがマスクをせず参加した。

 こんな世界のニュース映像を見ていると、日本って本当にいまも「アジアの優等生」なの?って考え込んでしまう。

 まあ、それも仕方がないのかもしれない。

 目の前で隣の国がCOVID-19の感染を押さえ込み、G20(20カ国・地域)で唯一プラス成長を達成しても、「中国の統計は信用できない」と片づけ、次々と先端技術が花開いている現実を前にしても「パクリ」と認めず、それを伝えようとする者を「スパイ」と攻撃すれば現実逃避ができてしまうのだ。

 メディアの罪も重い。つまみ食いが過ぎるし、そのつまみ方も誤解を呼ぶことばかりだからだ。

 例えば28日の中国国防部の会見だ。

 日本のニュースのほとんどは同報道官が台湾問題で触れた「台湾独立は戦争を意味する。いかなる台独のたくらみも破壊し、必ず国の主権を守る」という発言を取った上、ジョー・バイデン米政権に警告したという結論を導いたのだが現実はちょっと違う。

 まず台湾問題と対バイデン政権の質問は別々に行われていて、同じ文脈で語るには無理がある。

 そもそも国防部の呉謙報道官の言葉を長く引用すれば、「協力関係を結びたい」というラブコールであることがわかる。

 ドナルド・トランプ政権下で関係が悪化したことを踏まえた上で、「いま中国と米国の関係は新たなスタートラインにある。中米はともに対抗せず、衝突せず、互いを尊重しウィンウィンの精神と対立をコントロールすることに努め、中米関係を安定した方向へと発展させるべきだ」と述べているのだ。

 実際、米中両軍は新年早々交流したとして、「26日から27日にかけて中米両軍は捕虜や行方不明兵士、遺骨の捜索などに協力するための問題で会議を行い、人道主義の視点において米軍が関心を寄せる事象で中国側は応えた」と述べている。

 だから米国も…というわけだ。これが中国の片思いである可能性は排除できないが、「台湾問題で警告しただけ」という報道とは中身が違うことは明らかだろう。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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