【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】森会長騒動で感じた「不寛容な日本」 価値観の強制まで伴うような議論が横行、考えの多様性こそが「自由な社会の根源」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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森会長騒動で感じた「不寛容な日本」 価値観の強制まで伴うような議論が横行、考えの多様性こそが「自由な社会の根源」

 このところ、国際基督教大学の森本あんり教授の『不寛容論』(新潮選書)を読んでいます。この本は、不寛容な植民地時代の米国で、いかに多様性社会を築いたのか、一人のピューリタン、ロジャー・ウィリアムスという人物をもとに解き明かしています。

 異教者や異端者など、価値観の相いれないものとどう付き合うか? そこにあった知恵は、価値観を認めず、かといって無理やりの改宗や迫害も避け、尊重することでした。

 読み出したきっかけは、今月前半に報道を席巻した、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長をめぐる騒動です。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という発言が批判を浴び、先週金曜に辞任表明しました。

 発言をめぐり、ネット上を中心に論争となりました。

 発言が「女性蔑視である」というマスコミの報道そのものが“偏向”していて、「全文を読めば後段で女性を尊敬しているではないか!」という指摘もありました。

 森氏の発言は3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会でのものです。森氏は翌日、会見で謝罪し、発言を撤回しました。だが、辞任しなかったことや、会見での態度が横柄であったため、森氏の人格そのものを否定する言説が飛び交いました。

 首相在任中の言動、さらに年齢を持ち出して「老害だ」といった主張もありました。中には、森氏の業績を持ち出すだけで「差別主義者である」というレッテルを貼る向きもあります。

 他方、森氏と関わった人々の中には、その人格的な魅力を声を潜めて教えてくれる人もいました。野党でも、これと認めた人には声をかけ、苦境に陥ったときには手を差し伸べてくれた。イラクで亡くなった奥克彦大使の遺志を大事にして、一昨年のラグビーW杯の成功を引き寄せたなど。

 以上、3方向からの「森喜朗評」を挙げましたが、世の中の推移は2番目の方向で、森氏は辞任しました。ただ、そこには年齢による逆差別なども含み、性別によって差別されない寛容な社会を目指すはずが、その価値観を認めない人物を寄ってたかってたたくという、不寛容に転化してしまいました。

 ともすれば、「この価値観に従え!」という内心の強制までを伴うような議論が横行していましたが、それでは理解が深まるどころか分断が深まってしまうと危惧しています。考えの多様性こそが、「自由な社会の根源」であるはずで、たとえ今後の社会にとって望ましい価値観であっても、それを社会の全構成員に強制し、うわべだけ共感させることが望ましいとは思えません。

 そもそも、内心の好き嫌いの感情は簡単には消えないでしょう。植民地期のピューリタンの知恵が、現代の日本に多くの示唆を与えてくれます。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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