【真・人民日報】トランプ氏めぐる「人権」論争 利益求める国際政治の本質とは - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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トランプ氏めぐる「人権」論争 利益求める国際政治の本質とは

 2月12日、春節祝賀会で演説した習近平国家主席は、「背筋が凍るような激変に見舞われたこともあった」と1年を振り返った。

 コロナ禍を指したものなのか、米中関係のことなのかは不明だが、やはり相当大きなストレスにさらされた1年だったのだろう。正月を前にチラリとのぞかせた本音だ。

 前日にはジョー・バイデン大統領との初の電話会談も行われた。日本のメディアは早速、〈バイデン氏、香港やウイグル、台湾で懸念伝達〉と横並びで伝えたが、一方の中国メディアは〈米中両国は衝突を避け、気候変動など幅広い分野で協力すべきで、米国側は中国側と相互尊重の精神に基づき、率直かつ建設的な対話を展開し、相互理解を増進し、誤解・誤った判断を避けたい」と話した〉と別角度から報じた。

 相変わらず両方を見なければ本当の中身は分からないようだが、日本の報道によれば、下馬評の如く人権問題で早速バイデン節が炸裂(さくれつ)したようだ。

 しかし不思議なことにネットでは「トランプこそが人権派」との真逆の珍説が飛び交い、ジャーナリストの池上彰氏が攻撃されているという。

 ならば政策の優先度を考えて比較すべきで、ドナルド・トランプ氏は習氏との最初の会談で「人権」に言及したのだろうか。

 答えは否。それどころか「私は中国が発展の中で勝ち取った歴史的な成果に敬服した」とした上で「私たちの二国間関係を歴史的にも新しい高みに押し上げられると確信する」と語っている。香港問題もウイグル問題も既に存在する中での発言で、彼我の差は歴然だ。

 当時の新聞には大統領就任当初のトランプが、ロシアのプーチン大統領や習近平的政治スタイルを礼賛したとの報道もあふれている。

 実際、「新疆ウイグル自治区の教育施設を建設してる」と説明した習近平に対し「いいことじゃないか。どんどんやってくれ」と発言した主だ。それが後になってウイグルの人権問題でジェノサイド認定するのは、米政治誌『ポリティコ』が報じたように選挙対策の流れと切り離せない。

 言うまでもないが、米国に利益のない関与など国際政治にあろうはずがない。日本人はなぜ学習しないのか。

 そもそも他国のトップが他国の人権問題にどれほど真剣かで日本人が日本人を攻撃して内紛の種をまく不思議な現象を、戦略に富んだ大国がどれほど冷ややかな目で見るのか。それを考えると、恥ずかしいと同時に背筋が寒くなるのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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