【突破する日本】尖閣侵害に通じるウイグル弾圧、性的暴行する悪魔の所業も 日本も「ジェノサイド」と認めるべき - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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尖閣侵害に通じるウイグル弾圧、性的暴行する悪魔の所業も 日本も「ジェノサイド」と認めるべき

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の問題発言は、海外では単なる「女性蔑視」ではなく、女性という属性を否定したものと捉えられた。ジェノサイド(集団殺害)の肯定と同列に受け止める向きもあるが、世界では本物のジェノサイドが現在進行形で行われている。

 英BBC放送は今月3日、中国新疆ウイグル自治区でウイグル族らの監視・統制を目的とした「再教育」施設で、性的暴行などが組織的に行われているとする女性らの証言を報じた。複数回、2~3人の男に集団でレイプされたり、体内に入れた電気棒に通電される拷問を受けたというものだ。

 この報道に対し、英国のナイジェル・アダムズ外務・英連邦省閣外大臣は4日、「悪魔の所業を明らかにした」「英政府は断固たる対応を取る」とした。同国のドミニク・ラーブ外相も、ウイグル自治区での人権侵害を理由に、来年の北京冬季五輪をボイコットする可能性を示唆している。

 中国の報道官は4日、報道事実を否定し、5日には「フェイクニュースや偏見のある報道にだまされたり、ミスリードされるべきではない」と述べた。中国でメディアを管理する国家ラジオテレビ総局は11日、BBC放送の国際放送について中国での放送を禁止する制裁措置を取っている。

 ウイグル問題については、1月19日、ドナルド・トランプ前米政権のマイク・ポンペオ国務長官(当時)が、中国政府のウイグル族など少数民族への政策を「ジェノサイド」と認定し、100万人以上が強制収容所などで自由を奪われているとも指摘した。

 ジョー・バイデン米政権でも、アントニー・ブリンケン国務長官が1月27日、「ジェノサイドが行われたという認識は変わっていない」と述べ、前政権と認識を同じくしている。

 中国政府のウイグル族へのジェノサイドに国際的非難が高まっているなか、問題は日本政府の対応だ。自民党外交部会で1月26日、外務省の担当者は「ジェノサイドとは認めていない」と回答した。国際社会の人権感覚とは大きくずれた姿勢だ。

 この問題は、単にウイグル族への人権侵害が横行しているというものではない。中国が「自由・民主主義」「法の支配」「基本的人権の尊重」という、今日の自由社会での普遍的価値をものともせず、踏みにじろうとしていることを示している。

 ウイグル族への人権侵害は、南シナ海での領土拡張や、沖縄県・尖閣諸島への領土侵害にも通じる。「悪魔の所業」を「ジェノサイド」と認めないことは、尖閣諸島の領有を諦めたと言っているに等しい。中国は尖閣諸島への攻勢を強めている。日本政府は英米と歩調を合わせるべきだ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

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