【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】トランプ弾劾裁判は“時間のムダ”だった 民主党議員らの「憂さ晴らし」、バイデン政権の閣僚承認遅らせただけ - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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トランプ弾劾裁判は“時間のムダ”だった 民主党議員らの「憂さ晴らし」、バイデン政権の閣僚承認遅らせただけ

 ドナルド・トランプ前米大統領に対し、連邦議会議事堂襲撃事件を扇動した責任を問うた弾劾裁判で、上院は13日、無罪評決を言い渡した。トランプ氏は当時、「議会へ向かおう」と支持者らに呼び掛けたに過ぎず、暴力を扇動したわけではない。評決は当然の結果だ。

 民主、共和両党が同数の上院(定数100)で、賛成57、反対43。共和党から7人が造反して賛成票を投じたが、有罪に必要な出席議員の3分の2には遠く届かなかった。

 民主党のナンシー・ペロシ下院議長をはじめ、民主党議員らが強く訴えて始まった弾劾裁判だが、証人が呼ばれることもなく、提出された証拠はトランプ氏の発言を意図的に切り取った動画だけ。単なる印象操作に過ぎず、わずか5日間で結審、評決が出た。

 民主党が弾劾裁判に持ち込んだ狙いは、(1)トランプ氏を現職大統領から引きずり降ろすこと(2)トランプ氏を次の大統領選に出馬させないこと(3)共和党の分断-の3つだ。

 第1は、そもそもトランプ氏が大統領ではなく、米国の一国民のため、弾劾裁判の意味を成さない。合衆国憲法修正第14条には、弾劾裁判によって公職に就く資格を取り消すことができるとあり、今回の裁判は憲法違反ともいえる。トランプ氏を弾劾裁判に問えるなら、バラク・オバマ、ジョージ・ワシントン両元大統領でさえも責任に問えることになる。

 勘違いしている人も多いが、米国における弾劾裁判とは「立法府が行政府に行う均衡(チェックアンドバランス)の制度」であり、司法府は関与しない。つまり極めて政治的な制度なのだ。これで次期大統領選への出馬の有無が決定されることも甚だ疑問で、国民が選挙で選べばよい。

 共和党の分断は、民主党が最も望んだことだろうが、造反は7人にとどまった。この中には、以前から「反トランプ」だった議員も多く、予想以上の造反は出なかった。共和党のテッド・クルーズ上院議員が言っていたが、共和党への攻撃というより、民主党内に残る「トランプ氏への憂さ晴らし」をしたに過ぎない。

 結果、史上初となる2度目の弾劾訴追は、何ももたらすことなく、単なる時間の無駄だったといえる。

 現在、米国では、新型コロナウイルスに関する経済対策を含んだ予算審議をしなければならないのに、新政権の閣僚承認が終わっていない。弾劾裁判は、これらを遅らせただけだった。

 弾劾裁判は、立法府による“最後の手段”であり、非常に重い制度である。民主党の復讐(ふくしゅう)のために2度も行った弾劾裁判は、制度そのものの重みも失わせかねなかったといえる。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

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