【ニュースの核心】米中首脳電話会談、第1ラウンドはバイデン氏“優勢” 人権弾圧や台湾への攻撃的姿勢など対中批判目立つ 中国側は焦り - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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米中首脳電話会談、第1ラウンドはバイデン氏“優勢” 人権弾圧や台湾への攻撃的姿勢など対中批判目立つ 中国側は焦り

 ジョー・バイデン米大統領が2月11日、中国の習近平国家主席と初の電話会談をした。これに先立ち、アントニー・ブリンケン国務長官も、中国の外交担当トップである楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)共産党政治局員と電話で会談している。

 私は、かねて「バイデン政権は中国に宥和的ではないか」と心配していた。だが、いざ両国が接触してみると、米国の対中批判ジャブが目立った。中国側には、焦りが感じられるほどだ。

 それは、どこで見えたか。

 国務省によれば、ブリンケン氏は楊氏との会談で、新疆ウイグルとチベット、香港に言及し、人権と民主主義を守る姿勢を明確にした。

 すると、中国側は日本語にして米国の4倍以上もある長々とした声明を発表し、「楊氏は、米中が互いの核心的利益と政治体制を尊重すべきだ、と述べた」と解説した。

 中国の声明で注目されたのは「ブリンケン氏が『1つの中国』原則を守ると表明した」という点である。

 この部分は国務省の発表になかったので、米国が「中国に甘い顔を見せたのではないか」との見方が出た。

 私は、むしろ逆だ、と思う。中国は、わざわざ「中国は1つ」と念押しせざるを得ないほど、米国の中国離れを心配していたのだ。

 なぜ、そう考えるか。

 日本では、しばしば「中国は1つ」とは、「台湾は中国のもの」という中国の主張を認めたかのように報じられてきた。それは誤りである。

 出典である1972年の米中共同声明には、何と書かれているか。「米国は台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国は1つであり、台湾は中国の一部と主張していることを認識する」とある。

 当時、台湾は「中国の正統政府は中華民国(すなわち台湾)」と主張していた。つまり、中国も台湾も「オマエはオレのもの」と言っていたのだ。米国はそんな双方の言い分を認識したにすぎない。

 それだけではない。

 国務省の東アジア・太平洋担当次官補は昨年8月、講演で「中国が言う『中国は1つの原則』と、米国の『中国は1つの政策』は異なる」と語った。そのうえで、中国共産党が武力で台湾を奪取しようとするなら「米国は台湾を支援する」と表明した。台湾問題に対する不介入政策の見直しを示唆したのである。

 そんな経緯があったので、中国はバイデン政権発足のタイミングで、改めて、「台湾はオレのものだぞ」と念押しすると同時に、国際的な宣伝効果を狙ったのだ。ここは、日本もしっかり両国の応酬を見極める必要がある。

 バイデン氏は相手の思惑など素知らぬ顔で、習氏との電話会談で「自由で開かれたインド太平洋」を守る決意や、不公正な経済慣行、香港、新疆ウイグルの人権弾圧や台湾への攻撃的姿勢を批判した。

 気候変動や核拡散などで協力する考えも打ち出しているが、相手の出方次第だろう。まず、「初戦第1ラウンドはバイデン政権の優勢」で終わった、とみていい。ボクシングは始まったばかりだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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