【日本の解き方】コロナ禍の「孤独・孤立」をどう解決するか 政府が非経済要因解消対策に本腰、縦割りの弊害除去がカギに - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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コロナ禍の「孤独・孤立」をどう解決するか 政府が非経済要因解消対策に本腰、縦割りの弊害除去がカギに

 政府は、新型コロナ禍で自殺や失業など「孤独・孤立」が深刻になっているとして、新たに対策室を設置した。

 新型コロナ対策で外出自粛が呼びかけられ、人と会う機会が減っている。それで孤独を感じるという面もあるだろう。

 その一方、昨年の自殺者数は2万1077人(警察庁調べ、暫定値)と11年ぶりに増加に転じた。それを分析すると、経済要因と非経済要因に分けられる。経済要因は、これまで失業と大きく関係していることが知られている。つまり、失業が増え雇用不安になると、それに伴い自殺が増加するわけだ。

 今回のコロナ禍でも、残念ながら一部業種での業績不振により雇用が失われている。それに対して政府が行っているのは、失業をできるだけ生まないように、マクロ経済政策でGDPギャップ(潜在GDPと実際のGDPの差)を可能な限り埋めるような有効需要策だ。

 実際、日本の財政出動は、国内総生産(GDP)比でみれば世界のトップレベルで、雇用悪化を防いでいる。その中でも、企業に対する雇用調整助成金も失業を防ぐうえで一定の効果があった。

 そして今回、政府は非経済要因の対策にも乗り出した。自殺のうち、非経済要因では「孤独感」によると思われるものが増えているのだ。これは、若者と女性に顕著だ。昨年の自殺者のうち男性は1万4078人で、前年比26人減だったが、女性は7025人で同934人増だった。また、文部科学省によれば、昨年自殺した小中高校生の数は約40%増となる479人(暫定値)だ。

 こうした事態を受けて、政府は先月12日、孤独・孤立問題に省庁横断で対応するため「孤独担当相」を新設し、坂本哲志少子化対策担当相に兼務させた。その1週間後の19日、内閣府に「孤独・孤立対策担当室」を新設した。同室は、厚生労働省や文部科学省など6府省の職員約30人で構成されている。25日には、菅義偉首相も出席した緊急フォーラムを開催した。

 孤独担当相については、2018年に英国の事例があり、英語名は「Minister for Loneliness」だ。日本の取り組みは、自殺報道があまりない海外では大きな関心を引き、好意的に報じられている。それに比べて、国内での報道ぶりはかなり地味だ。

 これまでの日本の自殺への取り組みは、厚労省の自殺防止対策が中心だったが、低所得層のためのフードバンク事業など各部署に分かれている。菅政権の特色は、各省庁の縦割りの弊害除去だ。デジタル庁もその発想によるものだが、今回の「孤独担当相」や「孤独・孤立対策担当室」でも、その本領が発揮されそうだ。

 坂本孤独担当相は、高齢者や子供の見守り、地域のつながり強化、住まいの支援などを指摘した。関連政策を集めて再度総合的に検討され、夏の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に関連施策を盛り込み、予算確保されるだろう。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

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