【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】2・13地震に見る「停電の優先順位」 人口密度やライフラインなどを東電が総合的に判断 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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2・13地震に見る「停電の優先順位」 人口密度やライフラインなどを東電が総合的に判断

 知らない間に、あなたの生活の分別が行われている。それは、電力の配分が行われていることだ。

 2月13日に福島県沖で起きたM7・3の地震では、震源の近くで震度6強を記録した。

 首都圏ではおおむね震度1から3だったが、それでも東京電力管内では広く停電した。千葉、埼玉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨、静岡の8県で約86万戸も電気が止まった。停電は復旧まで3時間ほどかかった。

 これは「人為的」な停電で、あらかじめ計画されていたものだ。

 電気の発電量と消費量が一致していないと周波数に乱れが生じる。震度7だった2018年9月の北海道胆振東部地震(M6・7)での全北海道のブラックアウト(停電)はこうして起きた。

 2月の地震では福島県にある広野火力発電所の5号機と6号機など、11基の火力発電所が停止したため、発電量が減って周波数が下がった。そこで安全装置を発動させて停電を人為的に起こしてバランスを取ったのだ。

 問題はここから先だ。停電するエリアは偶然や恣意(しい)的に選ぶのではない。人口密度やライフラインなどを東電が「総合的に判断」しているのだ。この「判断」は東電の外には明らかにされない。

 今回の地震では、唯一停電しなかったのが東京だった。つまり地方は東京の犠牲になったのである。

 11年の東日本大震災のあとの「計画停電」では、テレビ局が集中している港区では停電はなかったし、官庁や大病院のあるところでは停電しなかった。逆に計画停電が多かったのは東京では足立区と荒川区だった。

 今回の地震でも考慮されたのが、「医療機関」「国の安全保障上重要な施設」「国の主要な機関」「都道府県庁」「警察本部」「消防本部」などのある区域だった。また、鉄道、航空、金融システムもそうだ。羽田空港がある大田区や東京証券取引所がある中央区でも停電しなかった。

 東京都以外でも、県庁があるさいたま市浦和区、千葉市中央区、横浜市中区などの区域や、「原子力発電所とその周辺30キロ圏内」も停電しなかった。

 それぞれ1万戸以上の停電が確認されているのは、千葉県の船橋市と市川市、埼玉県の川口市、神奈川県の川崎市(高津区と宮前区)と横浜市港北区と相模原市と寒川町と茅ケ崎市だ。同じ市でも変電所が異なれば停電しないし、2つの市域にまたがるのは利用する変電所が同じためだった。

 震源からさらに遠く離れた静岡県でも、富士市の6万戸など、県全体で約17万戸以上が停電した。そこそこ人口が多くて、その割に重要官庁がないところが犠牲にされてしまったのである。

 いずれは来る首都圏の直下型地震や南海トラフ地震でも、この「秘密のプログラム」は発動されるに違いない。

 関西圏や中部圏も同じで、外からは見えない非停電地域がすでに決まっている。

 送電の停止、つまり停電はコンマ数秒で行われる。これは電力会社の職員が停止ボタンを押すわけではない。あらかじめプログラムされているのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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