【最新国防ファイル】陸自に配備された“謎の装備”汎用軽機動車  正式採用決まらず、いまだ公式HPに未掲載 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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陸自に配備された“謎の装備”汎用軽機動車  正式採用決まらず、いまだ公式HPに未掲載

 陸上自衛隊は2019年より、新たに「汎用軽機動車」を配備した。しかし、いまだに公式ホームページなどで公開されていない“謎の装備”となっている。分かっているのは、垂直離着陸輸送機「MV-22Bオスプレイ」に載せることが出来て、砂浜、山地、平原など縦横無尽に走り回る機動力を持つ車両ということ。

 陸自最大の大きさを誇る輸送ヘリ「CH-47」であれば、高機動車など、普通科連隊の車両が搭載できる。だが、オスプレイには搭載できる車両はない。

 それは米海兵隊も同様だった。敵地へ切り込むには、人員以外に重迫撃砲など、重量のある装備や複数の弾薬を持っていきたいが、降ろした後、目的地まで、人力で運搬するには限界がある。

 そこで、重量物を牽引(けんいん)できる小型車両を新たにつくることにした。それが、09年ごろから配備が開始された軽汎用車両「グロウラー」だ。全長約4メートル、全幅約1・5メートルと小型の車体としたので、オスプレイに搭載可能だ。2人しか乗れないが、重迫撃砲などを牽引できる。

 米空軍でも特殊作戦用の「CV-22オスプレイ」を運用することになった。これに伴い、米国特殊作戦軍(USSOCOM)も小型車両を必要とした。だが、「グロウラー」では、機動力に問題があった。

 そこで、米ポラリス社製の「エムレーザーフォー」という4輪バギーを配備した。全長約3・5メートル、全幅約1・5メートルと「グロウラー」より小型だが、最高時速100キロを誇り、最大航続距離は約150キロと長く、4人乗れる。性能の高さから、米海兵隊も「エムレーザーフォー」を配備した。

 当然、陸自も同じ考えに至った。実は、オスプレイ配備前から、搭載車両の選定が行われていた。第1候補は「エムレーザーフォー」と言われていた。15年11月25日に松戸駐屯地にある需品学校で行われた防衛省向け見本市「QMフェア」に、プレゼンのため展示されたこともある。ただ、オスプレイ配備後も、搭載車両決定の話は出てこなかった。

 それが突如として、「汎用軽機動車」という名を与え、数両を購入した。カワサキモータースジャパンが販売する「ミュール」というバギーで、配備先は水陸機動団だ。水陸両用車「AAV7」にも搭載できるため、期待されているが、正式な装備ではないとして公開していない。

 あくまで人や物を運ぶだけの「汎用軽機動車」は、自衛隊用の特別仕様である必要はない。民生品でも部隊の要求に十分応えることができる。金額や性能を比較した結果、「ミュール」が選ばれたようだが、部内では米海兵隊と同じ「エムレーザーフォー」を推す声もまだある。

 本採用がどの車種になるのか興味は尽きない。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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