【コロナ戦争の戦犯】日本医師の広すぎる「独占領域」 コロナ騒動で弱点露呈…なぜワクチン接種が進まないのか - zakzak:夕刊フジ公式サイト

記事詳細

【コロナ戦争の戦犯】日本医師の広すぎる「独占領域」 コロナ騒動で弱点露呈…なぜワクチン接種が進まないのか

 「医師不足」といわれる。ところが、医師会は、医学部増設に猛反対してきた。半世紀も新設がなかった獣医学部ほどではないが、医学部の新設は極めて稀である。

 私は、医師会の「人口減少やAI化の進展で、将来は医師過剰になる」という見通しに、反対していない。しかし、短期的な医師不足に対処するため、諸外国に比べて広すぎる「医師独占領域(=医師しかできないこと)」を削減したり、限定された医療行為を行える「准医師的な資格」などを創設すべきだと主張している。

 小泉純一郎内閣のときに「構造改革特区制度」を使って少し風穴が開いたが、必要なのは抜本的な見直しで、海外でやっていることは、原則として認めるべきだ。

 いま、新型コロナウイルスのワクチン接種の担い手が足らないという。田村憲久厚労相は20日、歯科医師による注射を特例で認めるかどうかを「検討する」と語った。欧米では、インフルエンザ・ワクチンも薬局で薬剤師がしているのに、医師会が「開業医のドル箱」なので認めない。

 PCR検査も、すぐ拡大できないのは仕方なかったが、政府の強い要請でも、なかなかペースが上がらなかった。「新規参入があると、コロナ終息後に既存機関が困るので抑えている」ともいわれた。医療機関での感染拡大を防ぐ切り札であるリモート診療も、拡大はごくわずかだ。

 私が「開業医に否定的な動きを防ぐためにも、業務開放に前向きになるべきだ」というと、医師会幹部も総論には反対されないが、一部に反対するお医者さんがいると動きにくいようだ。

 さらに、コロナ騒動を通じて再認識した「日本の医師の弱点」がいろいろある。

 海外では、大学院クラスのメディカル・スクールで医師を養成するが、日本は18歳で医学部に合格すると原則、医師になれる。

 医学部の学生は早くから専門教育に入るので、語学や数学も含めた一般教養はあまり勉強しない。このため、語学が苦手でも、データ解析に弱くても、それですんでしまう。また、他学部の学生との交流も少ないので、「上級国民意識」になりやすい。

 私の父親も医師だったからよく分かるのだが、他の医師の失敗などを患者に教えるのは、医師への信頼を傷つけるからしないという「モラル」「暗黙のルール」がある。このことも、「立派なお医者さん神話」を支え、外部からの改革圧力が弱い背景にあるのだが、その弊害が今回は非常に出た。

 ちなみに、「霞が関の獅子身中の虫」といわれる「医系技官」は国家公務員のキャリアとして扱われるが、医師免許さえあれば、公務員試験で比重が大きい一般教養試験なしに採用される。 =おわり

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)など多数。

関連ニュース

アクセスランキング

×