【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】次第に明かされる火星の謎 中国探査車が着陸成功 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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次第に明かされる火星の謎 中国探査車が着陸成功

 中国の探査車「祝融号」が火星への着陸に成功して画像を送り始めた。

 火星の周回軌道への投入は米国、ソ連(ロシア)、欧州、インド、アラブ首長国連邦(UAE)についで6番目だ。日本は周回軌道への投入に失敗した。だが、着陸は一段と難しい。中国は米国に続いて着陸に成功した2番目の国になった。

 火星は地球から遠くて、1秒に30万キロメートルを走る電波の通信でも片道10分以上かかる。トラブルが起きても地球からの指令は間に合わない。

 また大気の薄い火星への着陸は技術的に難しい。火星は月の2倍の大きな重力がある一方で、大気が地球の1%しかない。このためパラシュートだけでは十分に減速できない。ロケット噴射を併用した複雑な減速方法が必要だ。

 母船に積まれた探査車は猛スピードで大気圏に突入し、急速な減速をしたあと高度11キロメートルでパラシュートを開いて、高度2キロメートルで母船と探査車がカプセルから離れる。最終的に時速3キロメートルの速度で地上約20メートルの高度からはロケットで浮上したまま着陸機をワイヤで地面へとつり下ろす。これらを地球からの指令なしに正確に行わなければならない。タイミングを少しでも誤れば地表に激突してしまう。

 過去には各国が失敗している。欧州宇宙機関(ESA)は2016年に探査車の着陸を試みたが、着陸機「スキャパレリ」は火星に墜落して木っ端みじんになった。時速300キロメートルを超える速度で火星に激突したと思われる。これはロシアと協力して進めている火星探査計画の目玉だった。ESAにとっては二度目の失敗で、2003年にも火星への着陸に失敗している。

 1971年に火星に軟着陸した旧ソ連の「マルス3号」は火星表面に軟着陸した初の探査機ではある。しかし、送ってきたデータはグレーの画像1枚だけだった。着陸してから2分足らずで通信は途絶えた。

 他方、米国NASA(米国航空宇宙局)は1976年以来、9つの探査機が到着している。数カ月前から「パーシビアランス」が、中国の探査車から約2000キロメートルほど離れたところで走行中だ。

 だが、14年前に着陸に成功した「オポチュニティ」は砂嵐のせいで太陽光発電ができず2018年から休眠したままだ。NASAはその後毎日、目覚まし信号を送り続けているが、反応はない。

 中国の探査車には地中100メートルまで探れるレーダーのほか、磁場センサー、気象観測機器、マルチスペクトルカメラ、航法・地形カメラ、地表の化合物の検出器を搭載している。

 着陸場所である「ユートピア平原」は火星最大の盆地だ。この場所は地下に豊富な氷の層がある可能性がある。将来、有人火星探査や移住を行うときに、水を現地で調達することは重要である。

 中国は28年に2機の探査機を打ち上げてサンプルを地球に持って帰る予定だ。「パーシビアランス」が集めたサンプルも26年にNASAとESAの共同計画で後から来る回収機で地球に戻る。

 地球の隣だが、火山がいつまで活動していたかなど昔からナゾの多い火星の姿は、こうして次第に明らかになっていくのに違いない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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