【勝負師たちの系譜】順位戦B級1組 藤井二冠の連勝止めた“鬼の住処” A級陥落の猛者と有望若手が厳しい戦い - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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順位戦B級1組 藤井二冠の連勝止めた“鬼の住処” A級陥落の猛者と有望若手が厳しい戦い

 順位戦のB級1組は、通称『鬼の住処(すみか)』と呼ばれている。A級から落ちた猛者と、今後一流棋士となる有望若手が混じり、ここを抜けるのが容易でないクラスになっているからだ。

 特に相手にこの男は大したことはない、と思われたら大変だ。A級から落ちた一期目で、そのままB2へ連続降級した人もいるし、有望棋士と言われながら、A級に上がれずに終わった棋士も数多くいる。

 B1で苦労して昇級した棋士の代表は、前期昇級の山崎隆之八段だ。

 ただし「君は早く上がってくれないと迷惑だ」と思われる棋士は、案外スンナリ通してくれるところもある。

 昔で言う羽生善治九段を中心とする羽生世代(佐藤康光九段、森内俊之九段、丸山忠久九段、郷田真隆九段、藤井猛九段)は全員、C級では多少苦労はしても、B1は1年でA級に抜けている。

 最近の1期抜けは、2015年度の稲葉陽八段くらいだ。稲葉は翌年もA級1年目で、今回の斎藤慎太郎八段同様、名人戦の挑戦者になっている。

 今年の注目は、言わずと知れた藤井聡太二冠。何しろ今まで4期参加のうち、昇級を逃したC1時代に1局負けただけの、39勝1敗とは恐れ入る。

 今期藤井は、B1の初戦を三浦弘行九段相手に終盤で逆転勝ちして、順位戦22連勝。2戦目の相手が稲葉だった。

 今までの対戦成績は、稲葉がテレビ将棋で1勝の後、3連敗。3局はいずれも角換わりだった。

 それでも先手番と決まっていた稲葉は角交換腰掛銀で挑み、最先端の将棋から手厚い指し回しで快勝し、藤井に土を付けた。この結果、藤井の順位戦は1勝1敗となった。

 順位戦以外でも、前年度から続いていた公式戦の連勝が5月の上旬、王座戦で深浦康市九段に敗れ、19連勝で途切れている。

 「B級1組は比較的楽です。何せ下のクラスと違って、3敗(9勝)までは昇級ラインですから」と言った棋士がいた。確かにC級だと通常、昇級は1敗(9勝)までしか許されないが(それでも上がれなかった棋士もいた)、B1では明らかなカモがいないせいで混戦になることが多いからだ。

 藤井がB1の仲間にどう思われているかが、今期の成績に直結するかと思うのである。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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