【最新国防ファイル】技術向上へ教官がアクロバットチーム結成 新練習用ヘリ「TH-480B」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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技術向上へ教官がアクロバットチーム結成 新練習用ヘリ「TH-480B」

 陸上自衛隊では、パイロットの養成を行うため、明野駐屯地(三重県伊勢市)に航空学校、北宇都宮駐屯地(栃木県宇都宮市)に航空学校宇都宮校を置いている。これらに入校し、操縦を学び、主としてヘリコプターパイロットとなる。

 航空学校本校では幹部を対象とした「幹部航空操縦課程」、宇都宮校では、陸曹を対象とした「陸曹航空操縦課程」それぞれを行っている。

 両課程とも、まずは前期教育として、航空機に関する座学などを約9カ月かけて行う。

 これが終わると、実機を使った9カ月の中期教育へと移る。ここで使用されるのが、「TH-480B」という練習用ヘリコプターだ。米国のエンストロム・ヘリコプター・コーポレーションが製造している機体で、「エンストロム480」とも呼ばれる。

 同社は米陸軍向けに練習ヘリ「TH-28」を開発した。しかし、採用には至らず、1990年から民間向けに「エンストロム480」として、一般販売を開始した。

 もともと、軍用ヘリとして開発されたこともあり、性能が高く、すぐに注目が集まった。重量も約820キロと軽い。価格が安いこともあり、多くの航空会社などが購入していき、一躍ベストセラーヘリとなった。

 軍用ヘリとしても注目され、タイ陸軍や赤道ギニア空軍、エストニア国境警備隊などが導入した。これに日本も続き、それまで使用してきた「OH-6D」に代わり、2015年までにトータル30機を配備した。航空学校本校と宇都宮校にそれぞれ配備されている。

 自衛隊機には珍しく迷彩色ではなく、メタリックブルーのカラーリングとなっている。あくまで練習機であり、有事の際に使用することもないため、擬装にこだわる必要がないからだ。ゴールドのラインも入っていることから、陸自機とは思えない。むしろ視認性を高め、目立つようにしている。コックピット内には、前席2人、後席2人のトータル4人が搭乗できる。

 OH-6D時代、教官たちが、さらなる操縦技術の向上を目指して、アクロバットチーム「スカイホーネット」を結成した。6機が繰り出すタイトな演技は、すぐに注目され、明野駐屯地で行われる創立記念行事での人気者となった。TH-480Bへと機体を更新した際、チーム名を「ブルーホーネット」へと改称し、演技飛行は継続された。

 空自の「ブルーインパルス」とは異なり、あくまで教官たちによる模範飛行の範疇(はんちゅう)で実施していることもあり、教育優先であり、日本各地へと遠征することもなく、なかなか目にする機会は少ない。

 そのため、希少価値は高い。ヘリによるアクロチームは世界的にも珍しいことから、海外の飛行機マニアたちからも「1度は見てみたい」と言わしめる存在となっている。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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