スパコン「富岳」の五輪“感染”シミュが炎上したワケ (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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スパコン「富岳」の五輪“感染”シミュが炎上したワケ (1/2ページ)

 コロナ禍での開催延期を経て、7月23日に開会式を行う、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)。21日からは一部の競技が始まった。主要会場が集中する1都3県を中心に、多くの会場で無観客開催が正式に決まったが、無観客開催が決まる直前、文部科学省が発表したあるシミュレーション結果が物議を醸した。

 理化学研究所(理研)のスーパーコンピュータ「富岳」の計算結果によれば、国立競技場に1万人の観客が入った場合、「間隔を空けて着席し」「マスクを着用していれば」、4時間観戦していても新型コロナの新規感染者数は0に近いというのだ。

 現実と懸け離れた前提条件にツッコミ殺到

 萩生田光一文科相は「国立競技場に限っては感染拡大を抑えられることが、科学的にも証明できた」と自信を見せたものの、ネット上ではツッコミが殺到した。シミュレーションの前提条件があまりにも非現実的なものだからだ。

 シミュレーションの問題点は大きく2つある。まず1つ目は全観客がマスクを着用しているという点だ。東京の夏の気温は猛暑で知られる。理研によると、マスクなしのパターンは試算していなかったという。夏場のマスク着用については、厚生労働省や環境省も「熱中症のリスクが高くなる恐れがある」として、適宜マスクを外すことや、小まめな水分補給を推奨している。観客が4時間マスクを着用したままという前提には無理があるといえる。

 2点目は競技会場までの移動中における感染リスクを全く考慮していなかった点だ。例えば、国立競技場の最寄り駅の一つ、都営地下鉄大江戸線「国立競技場」はホームが狭く、混雑しやすいとしてコロナ禍以前から誘導方法が課題になっていた。会場への入場時の手荷物検査や、サッカーのハーフタイムなど試合中のトイレ休憩などでも人が密になる恐れがある。「観客を入れた場合の感染リスク」を試算するならば、こうした条件まで考慮しなければならないはずだ。

 マスク着用者がほぼ皆無だったサッカー欧州選手権

 海外の大会では、コロナ対策をしていてもクラスターが発生した事例がある。例えば、7月11日に閉幕したサッカーの欧州選手権(EURO2020)では、試合観戦をきっかけとした集団感染が2件発生した。現地メディアなどによると、6月29日にはロシア・サンクトペテルブルクでの試合を観戦したフィンランド人300人、30日にはスコットランドで2000人の感染が発覚したという。中にはスタジアムで試合を観戦した人も多数含まれるという。

 コロナ対策には、入場時にPCR検査の陰性証明やワクチン接種証明の提出などを課し、観客動員数にも制限を掛けたという。一方、テレビ中継で試合の様子を見ると、観客席にマスク着用者はほぼ見られなかった。人数制限をしているとはいうが、熱狂的なサポーターが集まるバックスタンド側は、間隔を空けずに着席し、かなり密になっているという印象を抱いた。

 当然ながら、試合が始まると応援が始まり、ゴールが決まるとスタジアム中が熱狂の渦と化す。サポーターが国歌斉唱を大声で熱唱する国もあり、マスク未着用者が多数を占める会場内で、飛沫感染のリスクが高まっていることは容易に想像できる。

 11日(現地時間)に英ロンドンで開催された決勝戦でも、観客数を約7割に制限していたものの、マスク未着用者が目立った。ロイター通信のデータによると、11日に英国では約3万1000人の新規感染者が報告されていたという。

ITmedia News

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