【東京五輪と自衛隊】全国から集まった支援団は約8500人 五輪に不可欠な「参加者」自衛隊の存在が外国人の信頼性と不正の抑止に - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【東京五輪と自衛隊】全国から集まった支援団は約8500人 五輪に不可欠な「参加者」自衛隊の存在が外国人の信頼性と不正の抑止に

 ある時期から、関東各地の自衛隊駐屯地などには、地方からの車両が続々と集まってきていた。プレハブが建てられ、その横に即席の洗面所やトイレも設置された。

 約1カ月、そこで暮らすのは「東京五輪・パラリンピック支援団」として全国の部隊から集まった自衛官たち、総勢約8500人だ。駐屯地などの人口は一気に増える。彼らは待機時間はひたすら走り、体力錬成をする姿がひっきりなしに見られる。

 ただし、これはあくまで駐屯地の柵の中。彼らは任務以外の外出禁止だ。本来、数千人の自衛官が街に出れば大きな経済効果があっただろうが、コロナ時世では当然のごとくできない。

 しかし、彼らはやる気にあふれている。猛暑の中での支援、鍛え上げた自衛官でなければ務まらない役割も多いのだ。大半が「無観客」開催になり、人員をもて余さないか心配ではあるが、彼らの存在に対する期待値は高い。

 岸信夫防衛相は7月18日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区、埼玉県朝霞市など)で行われた陸海空自衛隊の支援団編成完結式で、「諸君もまた、オリンピック・パラリンピック大会の参加者であります」と激励した。まさに自衛隊は五輪に不可欠な「参加者」なのだ。

 それは単なるマンパワーの必要性だけではないと言っていい。そう思わせるのは、開催側からの服装についての要望だ。

 「制服でお願いしたい」

 まだまだ、平素は迷彩服姿などに慣れない日本人であるが、ここには1964年の東京五輪での経験が大きかったのではないだろうか。

 「東京オリンピック支援集団史」(東京オリンピック支援集団司令部)によれば、選手団が入村した際に管理事務所で勤務していた2等陸佐が出迎えると、各国選手は「中佐が自ら出迎えてくれるのか!」と感激されたようだ。外国人には、そこに「軍人」がいるということが信頼性にもなり、また不正の抑止にもなる。場が引き締まるのだ。「迷彩服で来ないでくれ」などと言うのは日本人くらいだろう。

 今回は開会式や表彰式での国旗掲揚や、競技の沿道警備、救護活動、アーチェリーや射撃競技の運営支援等々が自衛隊の仕事になる。とりわけ、国旗の掲揚は自衛官にとって日常の作業だ。テレビなどを通じ、全国民が彼らの所作を目にすればその日常を見てもらうことにもなる。

 競技以外でも自衛官の不動の姿勢や折り目正しい動きに感動してもらえるのではないだろうか。

 今、自衛隊では、1度限りの支援団旗がなびいている。その横を静岡県熱海市の大規模土石流の現場に向かうのであろうか「災害派遣」の車両が走る。自衛官たちの多忙な夏が始まった。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 防衛問題研究家 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出版)、『自衛隊の経済学』(イースト新書)、『自衛官が語る災害派遣の記録』(並木書房)など。

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