【勝負師たちの系譜】叡王戦開幕 豊島叡王に苦手意識が消えた藤井二冠 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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叡王戦開幕 豊島叡王に苦手意識が消えた藤井二冠

 前期までのドワンゴに代わり、今回から不二家が主催となった、第6期叡王戦五番勝負がいよいよ始まった。

 叡王戦は段位別に予選を行い、予選通過者と前期からのシード者で本戦を行って挑戦者が決まる。

 この本戦を勝ち抜いたのは、三つ目のタイトルを狙う、藤井聡太二冠だった。

 決勝の相手は、名人戦こそ敗れたが、他の対局はほとんど負けなしの斎藤慎太郎八段だったが、藤井は相手の先攻に対しジックリ受けに回り、攻めが一手緩んだ隙に、一気に反撃して勝利を掴んだ。

 現在のタイトル保持者は豊島将之叡王で、豊島が藤井に挑戦している「お~いお茶杯王位戦」の七番勝負と合わせ、豊島とは12番勝負を戦うことになった。

 先行して始まった王位戦は、藤井が初戦に中盤で決定的なミスをし、一方的に敗れた。しかしその後、2連勝して勝ち越している。

 私は特にこの第2局の勝利が、藤井にとって大きかったと見ている。

 それまで通算成績が、藤井に7勝1敗だった豊島は、中盤で良くなったと見たか、足を止めて一気に勝ちに出た。

 しかしこれが思ったほど簡単ではなく、疑問手もあって豊島は敗れた。

 藤井にすれば、苦手の豊島に自分らしい勝ち方をしたことになるが、それ以上に豊島にとっては、他の棋士が味わうような、終盤で競り負ける、形勢互角の終盤では勝つのは大変だ、という怖さを味わったのではないだろうか。

 そのせいか、第3局は豊島にとって、あまり良いところがない負け方をし、叡王戦に入ったのだった。

 第1局は江戸の守り神と言われる『神田明神』での対局で、この4連休の最終日、25日に行われた。この将棋も、中盤は豊島が指せるのではないかの評判があり、本人もそのつもりだったようだが、悪手を指したつもりもないのに形勢が悪くなった、という負け方をしたのだった。

 これで都合、藤井は豊島に3連勝となり、どちらのタイトル戦も藤井が先行した形になった。藤井にとって、苦手意識がなくなったことは大きいはずである。

 叡王戦第2局は、山梨県甲府市の湯村温泉『常盤ホテル』で行われる。タイトル戦では、久々に解説会がある対局となるので、ファンにとっては大いに楽しみであろう。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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