【昭和のことば】歌人・川田順が友人に書き送った手紙の一節「老いらくの恋」(昭和23年) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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歌人・川田順が友人に書き送った手紙の一節「老いらくの恋」(昭和23年)

 東大卒、住友コンツェルンの常務理事を務めた歌人・川田順(68)は、妻を亡くした独身の身であった。詩歌の弟子であり、川田と旧知の間柄であった大学教授の妻、鈴鹿俊子(40)と人目を忍ぶ、「不倫」関係となった。夫妻は離婚をする。自責の念にかられ、何もかも捨てた2人は、死を覚悟した旅に出る。

 その際、友人に書き送った手紙の一節に、「墓場に近き老いらくの恋は怖るる何ものもなし」とあり、このことばと、2人の「恋の逃避行」がたちまち世間の話題になった。

 この年の主な事件は、「帝国銀行椎名町支店で行員12人が毒殺。容疑者平沢貞通逮捕(帝銀事件)」「片山哲内閣総辞職。芦田均内閣成立」「エリザベス・サンダース・ホーム、神奈川・大磯の沢田邸で開設」「新制高等学校・大学発足。6・3・3・4制確立」「夏時刻を1時間進める『サマータイム』開始」「太宰治、玉川上水で入水自殺」「昭和電工社長収賄容疑で逮捕(昭電疑獄)」「警視庁、110番設置」「極東国際軍事裁判所、戦犯25被告に有罪判決。東条英機ら7人の絞首刑執行」など。

 この年の映画は『酔いどれ天使』、『美女と野獣』(洋画)。本は太宰治の『人間失格』、『菊と刀』(ルース・ベネディクト著、長谷川松治訳)。日本脳炎の大流行があった。

 寿命が伸びた現代で考えてみても、68歳での「大恋愛」はあっぱれである。当時の皮膚感覚的風評は知る由もないが、改めて、人の恋や情熱に「年相応」はない、と思う。 =敬称略

  (中丸謙一朗)

 〈昭和23(1948)年の流行歌〉 「懐しのブルース」(高峰三枝子)「湯の町エレジー」(近江俊郎)「東京ブギウギ」(笠置シヅ子)

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