【日本の元気 山根一眞】北海道・下川町、バイオマス由来の染料「和色」 将来に期待 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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北海道・下川町、バイオマス由来の染料「和色」 将来に期待 (1/2ページ)

 前回(9月25日掲載)紹介したように、北海道下川町は1954年の洞爺丸台風で大規模な風倒木に見舞われたことをきっかけに持続可能な林業を目指してきた。その結果、2008年には国の環境モデル都市に指定され、11年には第1回ジャパンSDGs(持続可能な開発目標)アワードの内閣総理大臣賞を受賞した。

 人口わずか3000人のこの町で、エコシティにふさわしいデザインビジネスを目指し、東京からUターンした「寺田デザイン事務所」の寺田真治さんは、まず町営のエコ施設の視察から始めた。

 その一つが、16年に稼働開始したバイオマスボイラーの熱供給施設だった。公共施設への熱供給源は下川町で得た間伐材だ。「そこで見てしまったんです、焼却灰を」(寺田さん)

 カーボンニュートラルのエネルギー施設であるバイオマス発電所でも燃料の3-5%が焼却灰として出る。下川町でも、処分できないままの焼却灰が建屋内に積み上げてあった。それを見て寺田さんは「これだ!」と思ったのだ。

 焼却灰には染色に欠かせないクロムが含まれている。この焼却灰に、色を繊維に定着させるための各種金属、植物成分を混ぜることで、布を色とりどりに染めることができるはずだと考える。

 そこで、焼却灰に銅や鉄、アルミ、ミョウバン、チタン、クロムなどの金属を反応させ、さまざまな樹木の皮を混ぜて染料を得る実験を始めた。だが、組み合わせが難しく失敗の連続だった。

 取り組みを始めて3カ月、バイオマス灰とシラカバの皮を混ぜたところ、淡く美しい桜色の染料ができた。それは、日本の伝統色である和色の「御所染」と「薄桜」の中間色だっため、寺田さんは「御所染薄桜(ごしょぞめうすざくら)」と命名した。その製法は21年5月に特許を取得した。

 「和色」は700種以上があり、それぞれに「薄柿」「金糸雀色」といった風雅な名がつけられている。「和色」は日本のすばらしい伝統文化だが、寺田さんはそこに下川町産まれの新和色を加えたことになる。

 実験に実験を重ね、寺田さんが創り出したバイオマス灰由来の和色は現在では20色に増えている。それらで主にオーガニックコットンを染色した「採色兼美(さいしょくけんび)」ブランドの製品は、タオル、Tシャツ、布バッグなど多種多様。ていねいな手作り品のため生産数は限られているが、それらは寺田さんの会社のオンラインショップで販売されている。売り上げはまだわずかだが、下川町のふるさと納税の返礼品に選ばれるなど明るい兆しも見えている。

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