【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】落下頻度が高くなってきた巨大隕石 中国で生まれた言葉「杞憂」は杞憂ではない - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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落下頻度が高くなってきた巨大隕石 中国で生まれた言葉「杞憂」は杞憂ではない

 中国で生まれて日本に入ってきた言葉がある。「杞憂(きゆう)」。中国古代の杞の人が天が落ちてきはしないかと毎日心配して、食事ものどを通らなかったことからできた言葉だ。心配する必要のないことをあれこれ心配することや、取り越し苦労のことを言う。

 だが、実際に起きるのだ。カナダの太平洋岸にあるブリティッシュコロンビア州でその事件は起きた。10月のことだ。

 岩が住宅の屋根を突き破って就寝中の女性のベッドに落ちてきた。もの凄い音と衝撃でその女性は飛び起きた。

 その破片の一つは、枕元に着地したが、幸いにも頭に当たることなく、女性は危機一髪で助かった。

 何が起こったのかが女性は理解できず、電気をつけた。部屋に煙とほこりがたちこめていた。

 さすが北米で、その女性は、はじめは誰かが飛び込んできていきなり銃を発砲したのではないか、と考えた。それが一番怖かったという。

 でも、そうでもない。木が家に向かって倒れてきたのだろうと思って、緊急電話に電話した。

 そして、その女性は枕元にあった1・3キロほどの岩に気づいた。天井に真新しい穴が開いていた。

 現場に到着した警察も、近くの建設現場から爆風とともに破片が飛んできたのはないかと考えた。

 しかし、建設作業員は爆破はしていないと話した。一方、「空に明るい火の玉」を見たと話した。

 研究者がのちに調査すると、確かにベッドに着地した岩は隕石(いんせき)であることが判明した。地元のウエスタン大学に保管する予定だという。

 あと3センチメートルずれていたら、頭を直撃していたに違いない。

 日本でも人ごとではない。2020年7月に千葉・習志野で大きな音がした。子供のこぶし大の石がマンション2階の廊下に転がっていた。このときは関東地方の広い範囲で火球が見えた。満月よりも明るかったという証言もある。

 習志野の隕石は首都圏の人口稠密(ちゅうみつ)地帯に落ちた。幸い人は死ななかったが、これは偶然の幸運のおかげだ。

 カナダのも習志野のも小さかった。人が一人死ぬかどうかという大きさだ。それでも、いつ、どこに落ちてくるのか分からないのは不気味だ。

 そのうえ、もっとずっと大きいものもある。数キロメートルのものが落ちてくることも少なくない。最近の研究では、巨大な隕石が落ちてくる頻度は、これまで考えられていたよりもずっと高いことが分かってきている。

 13年にはロシア西南部の町チェリャビンスクにもっと大きな隕石が落ちた。衝撃波で東京都の面積の7倍もの範囲で4000棟以上の建物が壊れ、1500人もが重軽傷を負った。

 これら大きな隕石が地球に衝突したときのエネルギーは、TNT火薬にしてどれも1000トンから60万トンの威力があった。都市を直撃したら大変なことになるに違いない。

 地球は宇宙に浮いている球だ。多くの人が忘れているが、天井があるわけではない。このため、隕石がたくさん落ちてくる。いままで地球に落ちてきたことが分かった隕石は3万個を超える。「杞憂」は杞憂ではないことが分かってきたのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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