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【日本の解き方】「年収上位1%は1300万円」に凍りついたテレビ出演者たち 客観データで深い格差論議を

ニュースカテゴリ:政治・社会

【日本の解き方】「年収上位1%は1300万円」に凍りついたテレビ出演者たち 客観データで深い格差論議を

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 トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』で論じている格差問題に関して、筆者がテレビで「日本ではトップ1%に入る所得は年収1300万円」と発言したことが、ちょっとした話題になった。発言した瞬間、出演者やスタジオの関係者がみんな凍りついたのだ。格差問題を報道しているテレビ出演者たちは「トップ1%」なのかという驚きだったのだろう。

 この数字は、研究者の間では周知の事実であり、誰でもインターネット上の「The World Top Incomes Database」というサイトで確認できる。この当たり前の話に驚かれたことに驚いた。

 給料の格差には誰でも関心があるので、格差問題は好まれる。あるマスコミ関係者は、1300万円でトップ1%とはおかしいので、ピケティの本自体に疑問を持ったという感想を寄せてきた。

 ピケティ本で示されているトップ1%は、20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ。働かないで所得のない人も含めた中の1%であって、給料をもらっている人の中での1%ではない。

 もっとも、この違いはたいしたことではない。国税庁の民間給与実態統計調査は、給与をもらっている人を対象としているが、トップ1%は年収1500万円である。これから考えても、ピケティ本における日本の格差データは間違っていないだろう。

 ちなみに、米国のトップ1%は年収37万ドルだ。今の為替レートでは4400万円になって、これだとマスコミの人も納得するだろう。

 日本のトップ1%の年収1300万円は、正確に言えば1280万円だが、意外に低いと思っている人が多いのではないか。そういう人たちは、ほとんど東京などの大都市圏に住んでいる。

 一方、そうした大都市圏では、従来中間層と思われていた階層が予想以上に増えている。

 日本のトップ10%、トップ5%の年収はそれぞれ576万円、751万円だ。これも予想外に低い数字だろう。なお、トップ0・1%、トップ0・01%の年収はそれぞれ3261万円、8057万円だ。

 他の数字を上げれば、日本人の平均年収は225万円。トップ10%、トップ5%、トップ1%のそれぞれの平均年収は913万円、1172万円、2145万円だ。

 こうした中で、富裕層への課税強化となれば、少なくともトップ10%くらいまでは対象にしなければならない。となると、年収576万円以上になる。このあたりの所得階層は、従来の報道では中間層と思われてきたところだ。実際はトップ10%なのだから、十分に増税に値する階層であるが、年収576万円と聞くと、はたして高額所得者と思えるだろうか。

 マスコミは、すべてとはいわないが、客観的なデータからは少なくともトップ10%には楽々入る高額所得者たちだ。しかし、主観的には自分たちの所得階層を中間層と思っているのではないか。

 この機会に、格差について、さらに議論が深まることを期待したい。なお、筆者は、ピケティ本の解説書『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で「21世紀の資本」は読める!』(あさ出版)を出したので、参考にしていただきたい。  (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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