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【世界遺産旅行講座】ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会 「最後の晩餐」蘇らせた技

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【世界遺産旅行講座】ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会 「最後の晩餐」蘇らせた技

 最近はヨーロッパ歴史講座において絵画の解説をする機会が増えたので、お盆休みに徳島県鳴門市にある大塚国際美術館に行ってきました。この美術館は世界中の至宝の名画1000余点をオリジナルと同じ大きさに複製した「陶版名画美術館」です。今回の私の目的はレオナルド・ダ・ヴィンチの有名な『モナ・リザ』ではなく、同じ彼の作品でも今では見られない修復前の『最後の晩餐』でした。

 この絵画は、彼のパトロンであったミラノのスフォルツァ公の依頼で1498年に完成された作品で、現在は「レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院」として世界遺産に登録されています。

 絵画は当時食堂だった部屋の壁面にフレスコ画ではなく、テンペラ画の技法で描かれました。フレスコ画は漆喰を塗ってから乾ききるまでに絵を仕上げる手法で、重ね塗りや描き直しは基本的にできません。レオナルドはこの作業時間の制約を嫌い、完全に乾いた漆喰の上に薄い膜を作った上で、卵・ニカワ・植物性油などを溶剤として顔料を溶き、白黒で陰影を描いた後に色を重ね塗りして写実的に描きました。

 しかし、このテンペラ画は温度や湿度の変化に弱く、食堂という環境から激しい浸食と損傷が進み、そのため、16世紀から19世紀にかけて複数回の修復や書き足しが行われ、20世紀後半にはレオナルド自身の絵がどの程度残っているのかわからなくなってしまいました。

このニュースのフォト

  • 修復後の同部分(口が少し開いている)※大塚国際美術館にて撮影
  • 修復前のイエス・キリスト部分(口が閉じているように見える)※大塚国際美術館にて撮影
  • 『最後の晩餐』があるミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会

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