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【貴騒動を斬る】稀勢と貴乃花親方に共通する“土俵の鬼”の精神 初代若乃花の孫弟子同士

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 貴乃花親方(45)=元横綱=と稀勢の里(31)は同じにおいがする、と感じるのは私だけだろうか。貴乃花親方が目指す相撲とはどんなものか。昨年の九州場所の打ち上げの席で、貴乃花親方はこう発言をして話題になった。

 「相撲道の精神を角道(かくどう)といいます。貴乃花部屋は、たたかれようが、さげすまされようが、角道の精華を貫いてまいります」

 素人にはなかなか理解しがたいが、初場所後のまな弟子、貴公俊(たかよしとし)の十両昇進会見ではこうも述べた。

 「(この子は)うちの師匠、また初代若乃花の親方から学んできた伝統の稽古をできるような気がする」

 要するに稽古につぐ稽古で鍛え上げていくということだ。では、初代若乃花から学んだ伝統の稽古とはどんなものか。初代若乃花は“土俵の鬼”と呼ばれ、稽古の厳しさに定評があった。また、こんなことを言って弟子たちの尻をたたいた。

 「土俵の外は千尋の谷底だと思え。落ちたら間違いなく即死するんだぞ。死に物狂いで粘らんかい」

 稀勢の里を育てた先代師匠(元横綱隆の里)はこの初代若乃花の弟子で、貴乃花親方の師匠の大関貴ノ花とは兄弟弟子。つまり貴乃花親方も稀勢の里も、初代若乃花の孫弟子にあたる。似るのも当たり前といえる。

 稀勢の里は先代師匠が7年前に亡くなるまで、他の部屋の力士たちとの交流を禁じられ、出稽古も許してもらえなかった。なれ合い、勝負に影響するのを嫌ったからだ。今回の騒動で、貴乃花親方も弟子たちに他の部屋の力士たちと飲食をともするのも禁じていたことが浮かび上がった。こちらも勝負に徹することを求めたのだ。

 そんな妥協を許さない生き方を身上とする似た者同士がいま、同じような八方塞がりの中にいる。どうやって壁をぶち破り復活するか。苦しい模索が続いている。

 ■大見信昭(おおみ・のぶあき) 1943年8月30日、鹿児島県生まれ、74歳。70年フジ新聞社(後に産経新聞社と合併)入社。大相撲を中心に取材歴50年に迫る。

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