zakzak

記事詳細

阪神・矢野監督“異例”のメンタルビデオ鑑賞会に選手は戸惑い 球団OBバッサリ「試合を控えた選手にしてみれば…」

 矢野耀大監督(50)が今季から指揮を執る阪神は、17日のヤクルト戦(神宮)で延長十二回2-2で引き分け、同日現在6勝10敗1分の“借金4”でセ・リーグ5位に低迷している。不振を抜け出すため、首脳陣は16日の試合前ミーティングで、1時間にわたり選手全員に“メンタル強化ビデオ”を見せていたことが判明。異例の“鑑賞会”に戸惑う選手もいたが、何とかシーズン序盤の暗雲を振り払いたいところだ。(山戸英州)

 「野球」という言葉を日本中に広めたといわれる俳人、正岡子規生誕の地での一戦。先週末に2試合連続11得点と“火(か)ヤク庫”が爆発した相手の勢いは、やはり止められなかった。

 16日の先発のオネルキ・ガルシア投手(29)が1回1/3、7安打7失点と大炎上。今季3試合に先発し0勝2敗、防御率19・29の惨状で、2軍降格が決まった。昨季中日で13勝を挙げ、3・4倍の年俸1億7000万円(推定)で加入した新戦力には、大きな期待が寄せられていただけに、開幕からわずか半月での離脱は衝撃が大きい。

 チームはこの日、午後6時20分の試合開始から逆算し、松山市内の宿舎ホテルを同3時頃出発したが、それに先立ち全体ミーティングが開かれた。ここで1時間にわたり、あるビデオの“鑑賞会”が行われた。

 相手先発の原樹理投手を映像で徹底分析したのかと思いきや、野球とは直接関係のない“メンタル強化ビデオ”だったから、あっけに取られた出席者も多かったようだ。

 通常、試合前のミーティングは、相手先発投手の対策やチーム全体の方針の再確認し30分程度で終えることがほとんどだけに、異例中の異例といえる。

 球団関係者はビデオの内容について「チームはいま負けが込んでいるが、最後はメンタルの強さ次第という趣旨の映像。基本的に自主性を重んじる矢野監督だが、選手個々にメンタルの強さ、自分自身に対する厳しさを求めるという意思表示でもあると思う」と説明した。

 しかし、あるチーム関係者は「突然のことで正直ビックリした。映像をジッと見続けて、そこからバスで移動。正直言って疲れました」と戸惑いを隠せず。

 球団OBの1人は「そういうのは2月のキャンプ中にやること。まだシーズン序盤の試合前ミーティングで、その類いのビデオを見るなんて聞いたことがない。試合を控えた選手にしてみれば『今、やることじゃないだろ』と言いたいところでしょ。とにかく何か手を打たねば、という矢野監督の焦りが、選手に伝染しなければいいが」と厳しい見方を示した。

 よくも悪くも、金本知憲前監督が率いた昨年までと、今の阪神ベンチの雰囲気は大違い。侍ジャパンのコーチを兼任している清水ヘッドコーチの発案で、3月の強化試合で対戦したメキシコ代表にならって、安打のたびに手を挙げて盛り上がるスタイルが浸透している。

 ところが「最近は劣勢だったり、なかなかヒットが出ないときには、それがパタッと消えるようになった。落差が激しい。関西ローカルの『551蓬莱』のCMが、豚まんが“ある時”と“ない時”の落差を描いて評判だけど、あれくらいですよ」(前出チーム関係者)とその深刻さを表現する。

 ちなみに、この日の試合はCS放送「フジテレビONE」で中継され、昨季までヘッド兼打撃コーチの要職にあった片岡篤史氏(49)が解説を務めた。昨季チーム打率・253(リーグ5位)の貧打の責任を負わされ、最下位転落の元凶としてヤリ玉に挙げられたのが片岡氏だったが、今季の打線はいまのところさらにひどく、チーム打率は・227(リーグ5位)。今になって「誰がやっても同じ。片岡のせいじゃなかった」(球団関係者)と自虐的な声さえ噴出している。

 結局、原樹理に完投勝利を許した矢野監督は「俺らは状態を上げたり、成長していかなあかんチーム。完投させたらアカン」と悔しがった。

 “スパルタ”と評された金本前監督とは対照的に、選手とのコミュニケーションを重視し、明るく前向きなムードづくりに心をくだいている。「メンタル強化ビデオ」もその延長線上にあるのだろうが、チームを反転攻勢に導くことができるだろうか。

関連ニュース

アクセスランキング