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議論白熱! アストロズ“サイン盗み”疑惑で一番得したのは誰?

 アストロズが2017年のワールドシリーズで、電子機器などを使い違法なサイン盗みをした疑惑。メジャーのデータ分析の専門家たちが意欲を激しくかき立てられ、「サイン盗みでアストロズはどれほどの得をしたのか」という分析、計算が連日、スポーツメディアを賑わせている。

 「本拠地のセンター後方から捕手にカメラを向けて、サインをダグアウトの関係者へ電子機器を使ってリレー。ごみ箱を叩いて球種を知らせた」

 当時アストロズの投手だったマイク・ファイヤーズ(現アスレチックス)が告発。チームのフロント幹部が先乗りスカウトたちに「サイン盗みの方法を探れ」とEメールで命じ、現レッドソックス監督のアレックス・コーラ(当時ベンチコーチ)と、メッツ監督に就任したカルロス・ベルトラン(当時DH)が首謀したとみられている。

 ただ、ザ・リンガーのベン・リンドバーグ氏は「サイン盗みの証拠は山ほどあるが、それが選手有利に働いたという証拠は極めて少ない」と分析。「メジャーの打者は長い時間をかけて技を磨いてきた。打つ直前に『どんな球が来るか』教えられても、本来の頭脳をフル回転させる作業を妨げるだけで、かえって悪い結果を生む」とした。

 一方、ベースボール・プロスぺクタスのボブ・アーサー氏は「サイン盗みはチームのプレート・ディシプリン(選球眼)を改善した。特に外角のボールに対する反応が飛躍的に向上し、アストロズは才能にあふれた打線からメジャー史上最高の打線になった」と指摘。さらに「テレビの録画を検証した結果、ごみ箱を叩く音が聞こえるようになったのは、17年の5月19日以降だ」とし、サイン盗みがワールドシリーズまで半年近く続いていたことをスッパ抜いた。

 この情報をもとに、ファングラフスのジェイク・メイルホット氏が、5月19日以降とその前のデータを比較したところ、全球種で5月19日以降の方が、打者のパフォーマンスが上がっていることを確認。「少なくとも年間で5勝は多く勝てた計算だ」と結論づけた。

 小さな体で特大のホームランを打てることで評判のホセ・アルトゥーベ二塁手は、開幕から5月18日まで緩い変化球に対する得点期待値が本拠地でマイナス6・5点だった。ところが5月19日以降、プラス4・24点にまで劇的に上昇。本拠地では緩い変化球を情け容赦なく痛打したり、手を出さずボールを選んだりした確率が上がり、出塁率も・274から・365に跳ね上がったとした。

 ただ当時40歳、メジャー最後の年だったベルトランは、数値にまったく変わりがなかったとし、「前もって球種がわかっても、単純に体が反応しない状態にあったと考えられる」と分析した。

 こうした議論を受けてニューヨーク・デーリーニューズ紙は1日、改めて「アストロズは本当にインチキで得したのか?」との特集を組んだ。

 守備の名手だったダグ・グランビル氏(49)=現ESPN解説者=は否定派。「選手は打つ直前に球種を言われても戸惑うだけ。むしろ妨げになる。その味方からのサインが一度でも間違ったら、選手は疑心暗鬼に陥る。私も二塁走者からのサインは要らないと言ったものだ。チームのサインがあまりに複雑で、打撃に集中できなかったからだ」と述べた。

 ただ、アストロズが17年以降もサイン盗みに固執してきたとの報道は後を絶たない。グランビル氏は「アストロズは1つのテーマを与えられると、組織全体で熱心に取り組むことで知られる。17年以降も取り組んで、さまざまマニュアルを作り、訓練を積み、サイン盗みから起きる負の部分を払拭して、ヒットにする方法を習得した可能性はある」とした。

 それが事実と証明されれば、「野球の尊厳を奪う行為というしかない」とデーリーニューズ紙。

 こうした専門家たちの分析のどれが正解なのか? セイバーメトリクスの先駆者、ビル・ジェームズ氏からは「結論づけるにはサンプルが少なすぎる」と疑問符も。徹底的な調査を約束したMLB機構の結論は、いったいどうなるのだろうか。(片岡将)

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