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東京五輪延期「2022年夏」の根拠と舞台裏 組織委・高橋理事の発言で騒動…森会長「計画変更考えず」も“三方良し”役割分担で発信か

 中国発の新型コロナウイルスの感染拡大を、WHO(世界保健機関)がやっと「パンデミック(世界的大流行)」と認めたなか、東京五輪の開催(=開会式7月24日)が懸念されている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)のインタビューで、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事が「中止はできない」「(1、2年の)延期ということだと思う」と言及し、森喜朗会長が否定する騒動があった。発言の深意とは-。

 「(高橋氏から)『ご迷惑を掛けた』と陳謝された」「(五輪開催に向け)みんなが努力している」「安全で安心な五輪を進めるのがわれわれの基本的スタンスだ。今、方向や計画を変えることは全く考えていない」

 森氏は11日、東京都内で記者団にこう語った。

 組織委員会広報も「(高橋氏は)仮定の質問に対して、個人的見解を応えてしまった」と説明しているが、こんな“火消し”を額面通り受け取る関係者はいない。

 何しろ、高橋氏は広告代理店、電通の元専務で、1984年ロサンゼルス大会から五輪ビジネスに関わり、サッカーW杯の日本招致にも尽力した。国際スポーツ界における人脈は日本でトップクラスの人物だ。

 高橋氏は11日、共同通信の電話取材にも、「現実を踏まえ、それなりに対応しないといけない」といい、大会延期の検討を今月末の組織委理事会で提起する考えを示している。

 冒頭の「中止はできない」という発言の根拠は、米ケーブルテレビ局NBCユニバーサルが巨額の放映権11億ドル(約1100億円)を払っているから。中止となれば、IOCが破産してもおかしくないという考えだ。

 延期ならば、まだ傷は浅くて済む。その“青写真”は今回の騒動前からささやかれていた。来年夏には米国で世界陸上が行われるため、東京五輪とバッティングさせることはできない。そこで、インタビューでの「延期の場合は2年後の方が調整しやすい」という発言につながってくる。

 2022年の世界的なスポーツイベントは、まず2月4-10日に北京で冬季五輪がある。さらにサッカーW杯の開催年にあたる。通例なら、欧州各国プロリーグのオフ期間の6-7月に行われるが、次回のカタール・ドーハ大会は酷暑を避け、11月21日-12月18日という日程なのだ。つまり、7月下旬-8月上旬に東京五輪の日程を、入れ込む余地が残されている。

 組織委員会関係者には「サッカーW杯と日程を重ねて、夏季五輪を開催することは絶対に不可能。次のドーハW杯は冬開催でよかった」という声もある。

 五輪本番まで、あと4カ月余。事態は逼迫(ひっぱく)している。7月までにコロナ禍が日本で終息しても、多くの国が選手を派遣できそうにない雲行きだ。

 森氏と高橋氏は、選手とIOC、日本が「三方良し」となるため、役割分担で発信しているのではないのか。

 今月30日のIOC(国際オリンピック委員会)理事会後、森氏が、より本腰を入れたコロナ対策の方針を発表する予定だが、「2022年夏に延期」が切り札になる可能性は十分ある。(夕刊フジ編集委員・久保武司)

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