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コロナで甦る…ファン不在の“泥仕合” 報酬を巡る対立再び

 大リーグは7月上旬の開幕を目指し、オーナー側が選手会と協議。今季の収益を双方で折半する案が取り沙汰されている。再び報酬を巡る対立となれば、あの史上最悪の事態となった出来事が脳裏から離れない。

 1994年8月、大リーグはストライキに突入し、シーズン再開の見通しが全く立たず打ち切り。90年ぶりにワールドシリーズも中止となった。最大の争点となったのが各球団の年俸総額に上限を設けるというサラリーキャップ制だった。

 今回の収益分配案について、トニー・クラーク選手会専務理事は「収益の額によって報酬が決まるのはサラリーキャップと同義だ」と批判。レイズのブレイク・スネル投手のように、報酬削減ならプレーしない考えに賛同する選手も出てきた。

 94年は669試合が中止となり、労使双方の損失は8億1000万ドル(約870億円)。今季無観客で82試合を行った場合、1試合平均64万ドル(約6850万円)、全て中止なら各球団40億ドル(約4300億円)と多大な損失になる。

 これが原因で開幕できなければ、一番哀れなのはファンだ。当時は金持ち戦争に嫌気が刺したファンが「今度ストをやるのは俺たちだ」と激怒。「ストが解決しても球場に行くな」と全米のファンに呼び掛けた。それこそ、無観客試合だ。

 翌95年にキャンプが始まってもストは解決せず、各球団は代替選手でオープン戦を強行。カナダに本拠を置くブルージェイズは臨時職員の採用が認められないため、開幕後もスト継続の場合は米国内に場所を移して公式戦を行うとした。

 また、球場にビールを運搬する組合の代表が「スト破りするつもりはない」と語り、観客はビール持参で観戦? 同様に名物のホットドッグやヒマワリの種なども球場から消える可能性があったとか。いつもの試合とは大きく様変わりだ。

 何やら、いまの新型コロナウイルスと状況こそ異なるが、当時と共通のキーワードも並び、似たような事態に見える。安全面に不安を抱える選手たちの気持ちもわかるが、ファン不在の泥仕合だけは見たくない。(大リーグ評論家・福島良一)

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