【スポーツ随想】六大学野球、執念の「夏の春季リーグ」 西では高校野球の交流試合…異例ずくめの8月に - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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六大学野球、執念の「夏の春季リーグ」 西では高校野球の交流試合…異例ずくめの8月に

 学生野球の華、早慶戦が始まったのは明治36年(1903年)だった。両校の応援の過熱で中断されたが、他の4大学が着々と力をつけ大正14年秋(1925年)には、初めて東京六大学リーグ戦が行われた。

 以来100年近く。リーグ戦が中止になったのは戦争中だけで、延々と歴史をつないできた。さすがに世界的に猛威を振るう新型コロナウイルスの前には、4月に開幕予定だった春季リーグ戦も延期に延期を重ねて、まさに“風前の灯”でもあった。

 しかし、そこは学生野球のルーツとしてのプライドと執念…。真夏の8月に4カ月遅れの春季リーグを開くことで、先週末に理事会決定し日程を発表した。

 8月10日の東大-慶大を皮切りに、1試合総当たりで17日までの8日間。通常のリーグ戦と同じく1日2試合(午前11時開始)だが、いつもは最後を飾る恒例の早慶戦が6日目に1試合(午後1時)だけで組まれた。真夏にデーゲームという負担を考慮し、3連戦を避けて公平性を保ったための措置という。

 特別ルールとして史上初のタイブレーク制を採用し、延長10回無死一、二塁から実施するという。先に2勝すれば勝ち点の3回戦制が従来の鉄則で、1試合制は戦後復活した昭和21年春(1946年)以来、実に74年ぶりになる。

 ある大学のОBはこう語る。「春のリーグを夏休み中の真夏に行うなど本来ならありえない。見送りが妥当で、東都大学も中止になっている。六大学にはうるさ型のОBも多く、『どんな形でもいいから絶対、歴史をつないでほしい』との要望が強かったのかもしれない。伝統の2文字は六大学では絶対だから」

 そのころまでにコロナがどうなっているか。都内の感染者数が3ケタ続きなら、さすがに伝統に固執しているわけにもいかず、今度こそ中止は致し方ないだろう。

 コロナも怖いが、高校生と違って大学は夏場は例年、涼しい場所で合宿を張っており、不慣れな炎天下の試合では熱中症も心配になる。

 前出ОBはこうも話した。「優勝など成績は公式記録として残るから、リーグ戦はリーグ戦だろう。しかし、1カ月後に通常の形式で秋のリーグ戦が行われるとしたら、どうしてもそこに向けたオープン戦という気持ちから、抜け出せない選手がいるかもしれない」

 観客を入れるかどうかは未定。有観客なら3000~5000人と上限が設けられ、六大学野球独特の雰囲気作りになくてはならない応援団の活動は不可という。

 西は甲子園で高校野球の交流試合、東は神宮の真夏の春季リーグ戦。何から何まで異例ずくめの8月になる。(作家・神谷光男)

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