【スポーツ随想】「コロナ明け五輪はパリからだ」プライドだけは高い…欧州五輪委の思惑 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「コロナ明け五輪はパリからだ」プライドだけは高い…欧州五輪委の思惑

 1年延期された東京五輪の新しい競技日程が公表された。従来の計画をほぼそのままスライドさせ、史上最多の33競技339種目が42会場で実施されるという。

 予定していた各会場も所有者と交渉を進めた結果、全42会場と選手村などの関連施設について再確保のメドが立った。

 こんなニュースを目にして、「よかった」と喜ぶ人はどれくらいいるのか。世界ではたった1日で約24万人も感染者が増えるなど、とどまることを知らない新型コロナウイルスの猛威。頼みのワクチン開発もまだまだ先になるらしく、なすすべもない国内外の現状を直視すれば、「まだやるつもりでいるのか」と首をかしげる人の方が圧倒的に多いだろう。

 延期に伴って余分な仕事が増え、大会組織委員会内部では「もう無理」と職員らの意欲もなえている、とのうわさも漏れ伝わる。すったもんだの末、東京だけ除外した「Go Toキャンペーン」とやらの世紀の愚策と同じで、上層部だけが「決まったことは何が何でも遂行する」と突き進もうとしているのだとしたら、昔の軍部と変わらない。

 そんな折、国際オリンピック委員会(IОC)の古参委員であるカナダのディック・バウンド氏の発言が、火に油を注いだ形になっている。

 東京五輪の再延期が仮に中止になった場合、その半年後に予定されている2022年北京冬季五輪も開催が困難になる、というのだ。「東京大会の後、同じアジア地域でウイルスの連鎖反応が起きないとは思えない」と同氏は指摘した。

 バウンド氏といえば、3月24日に東京五輪の延期が決定する約1カ月前にも、「1年延期は不可能ではない」などと発言し、延期論に火をつけた人物。現在は役職がないとはいえ、サマランチ会長時代は2期副会長を務めたかつての大物だけに影響力は残っている。

 北京五輪はオスロやストックホルムなど北欧の都市が立候補を断念し、棚ぼた式に開催が決まった。18年平昌に続くアジアでの冬季五輪で、東京を挟めば3大会連続アジア開催。これには欧米のIОC委員などから、「五輪はアジアのためにあるのではない」と反発の声も出ていた。

 「東京五輪は人類が感染症に打ち勝った証しとして、完全な形で開催…」と安倍首相は大見えを切った。しかし、五輪発祥の地とのプライドだけは高い欧州の委員などには、「24年パリ五輪こそ、パンデミックから明けた象徴的な大会にすべきだ」と、すでに東京や北京をパスする考えも出てきているという。

 東京が少しでも弱音を吐いて「中止」を匂わせようものなら、一気に流れは傾く。新型コロナウイルス発祥国の首都、北京も同じ運命をたどるのは必至ではないか。 (作家・神谷光男)

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