【ODAが見たレジェンドたち】元中日監督・落合博満氏(下) 打たせてもらった「プロ初のサヨナラヒット」 ぜひまたユニホームを着てほしい (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ODAが見たレジェンドたち】元中日監督・落合博満氏(下) 打たせてもらった「プロ初のサヨナラヒット」 ぜひまたユニホームを着てほしい (1/2ページ)

 元巨人、中日捕手の小田幸平氏(43)による大型コラムは、前回に引き続き元中日監督の落合博満氏(66)を“第二捕手”独自の視点で語り尽くす。「オレ竜」と呼ばれた名将はマスコミ泣かせで、外部には冷徹なイメージが伝わっていたが、チーム内ではまったく違う顔を見せていた。その実体を知れば、在任8年間で1度もBクラスに落ちず、原巨人にも通算75勝65敗2分と勝ち越した強さの秘密が見えてくるはずだ。

 落合監督が春季キャンプで課す練習は本当に厳しいものでしたが、グラウンドを走り回っていた私がどこにいようと、居場所を把握されていたことにも驚かされました。

 「GPSでも付けられているのかな?」と思わずユニホームを探ってみたりしたほどでしたが、もちろんGPSではなく、視野の広さとグラウンドへの注意を怠らない集中力のたまもの。私だけでなく全選手の動きに目を光らせていました。

 練習時間は長くハードなメニューでしたが、監督の考えは「練習はすべてグラウンドで終わらせろ」。他のチームのように夜間練習や宿舎での追加練習はありません。練習でやるべきことを終えていれば、後は何をしていても自由。門限もなし。選手を大人扱いしてくれました。

 野球選手にはありがちなことですが、練習で疲れていてもゴルフだけは別腹です。休日前の練習を終え、ウキウキ気分で球場を出る際に監督から一言。「あした、カヌチャ(沖縄県名護市のゴルフコース)で8時スタートだろ?」。スタート時刻まで把握されていたことに、「絶対に悪いことはできないな…」と固く心に誓ったものです。

 監督としての落合さんというと、冷徹さのイメージが先立つかもしれません。ですが、実際は選手ひとりひとりに関心を払い、丁寧に観察を続け、個性を生かそうとする方です。言葉は短いですが、よく声も掛けてもらっていました。それだけでも、「監督は自分のことを見てくれている」と心に響くものです。

 試合での戦術眼の素晴らしさについても話しておきたいと思います。落合さんの采配の特長は固定観念を持たないこと。「右投手に対しては左打者を起用する」といったセオリーにとらわれることはありません。

 私のプロ初のサヨナラヒットは、落合監督の采配で打たせてもらいました。2011年7月5日の阪神戦(ナゴヤドーム)は9回まで0-0の投手戦。私は9回表の守備から出場し、その裏の2死一、二塁のサヨナラ機に打席が回ってきました。マウンドには右腕の小林宏之投手。ベンチには佐伯選手や野本選手といった左打者が残っていたこともあり、「ここは代打だろう」と手袋を外し始めていたのですが、落合監督は私を打席に送り込みました。

 何としても監督の期待に応えたい。燃えました。カウント2-2からの5球目のスライダーをとらえて左翼線へ。一塁を回ったあたりでサヨナラ走者の生還を確認し、仲間から頭をバシバシたたかれながら、最高の気分に浸れました。

 しかし、なぜ監督は代打を送らなかったのか。疑問に思った私は後日、食事会場で聞いてみました。すると、笑いながらこともなげに「だって、打つと思ったもん」。

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