【メジャーの旅】いつの時代も困難を乗り越え… 野球には人々を鼓舞してきた力がある - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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いつの時代も困難を乗り越え… 野球には人々を鼓舞してきた力がある

 昨年10月のワールドシリーズ(WS)終了から史上最も長い266日。毎年春に人々の期待とともに迎えるシーズン開幕から遅れること約4カ月。今月23日、ようやく大リーグも戦いの火蓋が切って落とされた。

 大リーグの長い歴史を振り返ると、過去にもいろいろな出来事があった。1900年代初頭、ナ・リーグがさまざまな問題を抱えて危機的状況に陥ったとき、ア・リーグが結成。WSが開催され、野球界は再び活気を取り戻した。

 17年、米国は第一次世界大戦に参入。世界中が戦火に巻き込まれる中、スペイン風邪が流行。2000万人以上が命を落とした。それでもオーナーたちは中断させようとせず、戦争という非常事態を無視して強行開催。何とか混乱を乗り越えた。

 30年代、大リーグは大恐慌の影響で観客動員数が激減し、経営不振に陥った。そんな中、各球団はナイター開催などで観客を集め、ラジオという電波媒体を通じてファン層拡大にも成功。どうにか不況を乗り越え、人々に光をもたらした。

 40年代に入ると第二次世界大戦が激化。当時のルーズベルト大統領は「われわれ国民にとって野球を続けることが最良である」と声明。長時間労働を余儀なくされた人々のすさんだ心を癒やそうと、戦時中も大リーグの灯が消えることはなかった。

 それから2001年9月11日に起きた米同時多発テロ事件。当時のバド・セリグ・コミッショナーが「野球には人々を鼓舞する力がある。米国の日常を取り戻すのは野球だ」と言明。あの悲劇から約1週間後に再開し、人々に希望を与えた。

 そして、世界中に蔓延(まんえん)する新型コロナウイルス感染症。中でも、米国は世界で最も多い感染者、および死者を出し、大リーグは開催案をめぐって労使交渉が難航。一時はシーズン中止も取り沙汰されたが、何とか再三延期しながらも野球が戻ってきた。

 米国の「ナショナルパスタイム(国民的娯楽)」として200年近くにわたり、年齢を問わず多くの国民に楽しまれてきた野球。そのゲームにはいつの時代も幾多の困難を乗り越え、人々を鼓舞してきた力がある。 (大リーグ評論家・福島良一)

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