【ぴいぷる】ナックル姫・吉田えり 進路志望の目標欄に「ナックルボーラー」 次代の野球少女へ夢繋ぎ全力投球 (1/2ページ) ぴいぷる
「女子野球界を盛り上げないと。自分がマウンドに立ち続けることで『プロになりたい』と夢見る女の子たちの目標をかなえることができれば」
16歳でプロ野球、独立リーグ史上初の女性選手となって13年。今季は栃木県のクラブチーム「エイジェック」女子硬式野球部の投手兼コーチに就任。開幕に向け、強い覚悟を語る。
変化球のナックルを変幻自在に操り、男子打者を翻弄。この姿から付いた愛称は「ナックル姫」。
小学2年で野球を始め、プロを目指し、高校の進路志望書の目標欄には「ナックルボーラー」と書いた。
「担任は唖然としていました」と、あどけなさが残る笑顔で語るが、幼い頃から「有言実行」を地で行く人だ。
中学校の野球部では男子選手と競ってレギュラーとなり、高校ではクラブチームで硬式を握る。
そして2008年のオフ、球界を騒然とさせる“事件”が起きる。関西独立リーグ「神戸9クルーズ」のドラフト7位に女性投手として指名されたのだ。
「私自身、驚きました。だってまだ高校2年でしたから」
これに止まらず、米メジャーのナックルボーラー、ティム・ウェイクフィールド投手(当時、ボストン・レッドソックス)に憧れ、10年に渡米。米独立リーグ「チコ・アウトローズ」からドラフト指名され、この年の5月、初マウンドに立ち、ニューヨーク・タイムズの運動面でトップを飾る。
「実はこの日、ヒットも打ったんです。女子選手のプロでのヒットは60年ぶりだったんですよ」
待望の初勝利は翌年、移籍先「マウイ・イカイカ」での「エドモントン」戦(8月)。先発、初登板で、5回を1失点でしのぎ、快挙を達成した。
米国修業中、ナックル姫の噂を聞きつけたウェイクフィールドがわざわざキャンプに駆けつけ、伝家の宝刀を伝授してくれたという。
「『キャッチャーミットではなくマスクを狙え』と教えてくれました」
……と異例づくしのフロントランナーだが、こんな彼女の活躍があったからこそ、生まれた韓国映画が、間もなく日本で公開される。
「野球少女」がそのタイトル。韓国で女子初のプロ選手を目指す少女が主人公で、ナックルを習得し、プロ球団のトライアウトに挑む。ヒロインを「梨泰院クラス」で話題を呼んだ人気女優、イ・ジュヨンが演じ、同国で大ヒットした。
「ジュヨンさんが吹き替えなしでナックルを投げていて感動しました。脚本の中に『日本にナックル姫と呼ばれるプロ女子選手がいる』というセリフが書かれていたと後で聞かされ、光栄です」
この「野球少女」のPRに一肌脱ごうと、日本公開に合わせ、映画の宣伝隊も買って出ている。