【スポーツ随想】怪物モンゴル人台頭「青白時代」の再来か 白鵬の内弟子北青鵬と朝青龍甥っ子豊昇龍 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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怪物モンゴル人台頭「青白時代」の再来か 白鵬の内弟子北青鵬と朝青龍甥っ子豊昇龍

 綱取りの照ノ富士、進退を懸けた白鵬。まるで2人のために開いたような大相撲名古屋場所。ほかの力士たちは一体何をやっていたのか、と首をひねるばかりの低調な場所だった。

 大相撲はどうなるのか、と嘆く一方で幕下にとんでもない力士が現れた。幕下2枚目で7戦全勝で優勝した北青鵬(宮城野部屋)だ。身長202センチ、体重158キロの怪物で昨年春場所、前相撲で初土俵を踏んだばかり。序ノ口、序二段、三段目と各段全勝優勝で驚かせ、今場所が幕下4場所目というから、最近にない“怪物”の出現ではある。

 「肩越しに上手を取って体の大きさだけで勝っているようなものだが、しこ、テッポウ、すり足など基本はみっちりやっているので、長身力士にありがちな腰高や膝の硬さがない」と、ある親方が分析する。

 このすごさはたぶん、と思った通り生まれはモンゴル。本名はアリューワー・ダワーニンジで、母親の日本語留学に伴い5歳のとき札幌市に移住した、日本育ちという変わり種だ。札幌巡業のときに出会った横綱白鵬の紹介で、中学から鳥取に相撲留学。鳥取城北高では全国大会で活躍した。

 ということは当然白鵬の内弟子で、白鵬がいずれ部屋を持ったときは炎鵬や石浦らとともに行動を共にすることになる。“白鵬アレルギー”の人たちにとっては複雑な心境だろうが、基本運動の徹底などは白鵬のいいところを見習っている。

 モンゴルといえば、元横綱朝青龍の甥っ子で入門時に話題を呼んだ豊昇龍も、じわじわと力をつけている。入幕6場所目の名古屋場所は西前頭5枚目で、大関正代を外掛けで下すなど存在感を見せた。前出の親方は「まだ線が細いが、立ち合いのスピードや身体能力、しぶとさなどおじ譲り。体重(131キロ)があと10キロも増えたら、すごい力士になる」とみる。

 面構えも朝青龍に似て、ふてぶてしい。一方の北青鵬は対照的に、見るからに人の好さそうな顔つきだ。22歳の豊昇龍に、まだ19歳の北青鵬。1980年生まれの元朝青龍に対し、36歳の白鵬は5歳違い。この年回りもなんとなく似ている。

 長く続いたモンゴル支配も日馬富士、鶴竜らの引退で終焉に近づいたと思いきや、またまたモンゴルのイキのいい若手の台頭。因縁深い「青白時代」の再来もなきにしもあらずだ。

 名古屋場所で見事に復活した白鵬。あてにしていた「一代年寄」は、新しい時代の相撲界のあり方の諮問を受けた有識者会議が廃止論をうち出している。「銀座にガラス張りの白鵬部屋」という、あまり趣味がいいとはいえない夢は叶いそうもないが、「米びつ」は抜かりなく確保しているようだ。(作家・神谷光男)

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