【サクラと星条旗】東京五輪“重い負の遺産” 新施設の赤字、IOC幹部への不公平感 札幌冬季大会招致に影響するか (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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東京五輪“重い負の遺産” 新施設の赤字、IOC幹部への不公平感 札幌冬季大会招致に影響するか (1/2ページ)

 東京2020オリンピックが閉幕し、大会はある意味では成功に終わった。日本人選手が獲得したメダル数は史上最多を記録、日本中が彼らのパフォーマンスに酔いしれた。選手たちの活躍と笑顔は、新型コロナウイルスのパンデミックと、無観客開催が決まった今大会の中止を国民の約8割が望んでいたという事実を忘れさせてくれた。

 日本が採用した「バブル方式」のおかげで、関係者の感染は853人に抑えられた。様々なテクノロジーが活用され、感染拡大防止対策として、大会参加者は入国時に携帯電話に接触管理アプリ(COCOA)をインストールし、各組織のコロナ対策責任者(CLO)に毎日体温を報告することが義務付けられた。

 こうした対策は、海外の報道関係者用のホテルに無関係の客が出入りすることによってバブルに穴が開き、被害が広がってしまうのを最小限に食い止める役割を果たして、各方面から高く評価された。

 だが同時に、オリンピックは日本に重度のハングオーバー(二日酔い)を残した。大成功だった1964年の東京オリンピック後にも経験したようなやつだ。

 64年大会は東京の街を、誰も見向きもしない空気の汚れた田舎町から、世界中の観光客が波のように押し寄せ、映画「007は二度死ぬ」のロケ地に選ばれるようなハイテクなメガポリスへと変貌させた。新幹線の開通、初の衛星放送、ピクトグラムの導入など、技術革新は多岐に及んだ。

 しかし新幹線の予算超過のために東京モノレールは不便な浜松町止まり、高速道路は河川の上空に建設せざるを得ず、それが神田川の汚染、日本橋の景観悪化を招き、河川流域の文化を破壊した。

 2021年のオリンピック後の東京には、今大会独自の、おそらく64年大会よりも大きな負のレガシーが残る。膨大な予算超過に加え、新国立競技場のデザイン変更問題、エンブレム盗作疑惑、招致を巡る贈賄疑惑、154億ドル(約1・7兆円)の開催費用(負担するのはIOCではなく東京都の納税者だ)、無観客開催によるチケット売り上げの損失。

 緊急事態宣言下で新規感染者が出ている中、新国立競技場には選手と関係者が何千人と集い、トーマス・バッハIOC会長は銀座を散策。その裏でステイホームを強いられた国民の中にくすぶり続ける怒りと恨み。美しいレインボーブリッジでつながれたお台場を臨海副都心とする新しい東京を世界に披露する絶好の機会も失われた。

 いま東京は間違いなく世界最高の都市で、その黄金期にいる。世界屈指の経済活動の拠点で、フォーチュン・グローバル500に掲載の世界トップ企業の本社数が最多、ミシュランで星を獲得したレストランの数も最多(三ツ星レストランはパリの2倍)、どこよりも清潔、安全、効率的、広範な地下鉄・鉄道網、世界最高の識字率、最も礼儀正しく、ファッションに敏感な住民、などなど。2019年にはトリップ・アドバイザーが地球上で「最も満足度の高い場所」に選出し、2020年には米グローバル・ファイナンス誌が「最も住みやすい都市」とした。

 大会後に残る頭痛の種の一つは、今回新たに建設された会場すべてについて運営権売却を進めるものの、年間維持費と限定的な用途のため採算は取れそうにない、という事実だ。隈研吾氏が設計した木造競技場にかかった整備費はこの種の建造物としては史上最高レベルの約1569億円で、維持費は年間約24億円 だという。

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