【サクラと星条旗】東京五輪“重い負の遺産” 新施設の赤字、IOC幹部への不公平感 札幌冬季大会招致に影響するか (2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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東京五輪“重い負の遺産” 新施設の赤字、IOC幹部への不公平感 札幌冬季大会招致に影響するか (2/2ページ)

 陸上競技の大規模大会に必要なサブトラックの設置場所がないため、用途はほぼラグビーとサッカーに限られる。都の試算によると、黒字運営が見込める会場はコンサートに利用できる有明アリーナただ一つ。整備費370億円、年間利益は3億6000万円を見込む。

 さらに、東日本大震災を受けて導入された復興増税による復興予算が東京オリンピックに転用されたこと(婉曲的に別名「復興五輪」と呼ばれる所以である)は、東北の経済に想定外の影響を及ぼした。オリンピック関連の建設現場や事業で働くために、労働者が東北から東京に流れた。

 オリンピック関連イベントの場所を確保するために、他に行くあてのない路上生活者が都内の野宿場所から追い出されるという事態も起こった。

 また、徹底管理されたバブルは日本人から真の国際経験の機会を奪った。1964年大会が終わる頃には、日本人の誰もがチェコスロバキア女子体操代表のベラ・チャスラフスカのことを知っていた。米国のスプリンター、ボブ・ヘイズのことも、エチオピアのマラソン走者、ビキラ・アベベのことも。銀座の街は彼らのポスターだらけだった。街中を歩く姿が撮影され、NHKのスタジオでのインタビューにも登場した。

 だが今回そのように注目を浴びた海外選手は一人も思いつかない。17日間にわたってNHKの夜のオリンピックニュースはひたすら日本代表選手だけ、特にメダル獲得選手を報じ続けた。

 それ以外のすべてのものと引き換えに。それはある意味当然かもしれない。しかし国際友好親善の精神という意味では、少し疑問が残る。

 一つ思うのは、日本人がこの大会に対して感じた大きな不公平感がいつまで続くか、ということだ。パラリンピックの開幕に合わせてバッハ会長が隔離措置なく再来日したことは、政府分科会の尾身茂氏からも強い非難を引き出した。

 札幌はJOCに後押しされて2030年冬季五輪招致を目指している。今も引きずる東京大会への苦々しい思いと、オリンピックエグゼクティブたちのエリート主義的なライフスタイルが、その最終結果にどんな影響を与えるだろうか。

 大成功とされた1964年東京大会でさえ、その負の後遺症が今も東京で感じられる。2021年大会はどれほど大きな負の遺産を残すのだろう。

 ■Robert Whiting 作家。米ニュージャージー州生まれ。『和をもって日本と成す』(1990年)で日本のプロ野球の助っ人外国人を描き、独特の日米文化比較論を展開した。この逆バージョンともいえる本コラム「サクラと星条旗」は2007年から好評連載中。

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