【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(35)~広島県~ 清原超えた!!広陵・中村の6本塁打の衝撃 際どいコースはバットが止まり、飛ぶコースは必ず仕留めた (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(35)~広島県~ 清原超えた!!広陵・中村の6本塁打の衝撃 際どいコースはバットが止まり、飛ぶコースは必ず仕留めた (1/2ページ)

 まさか清原和博(1985年PL学園)を超えていくとは! 衝撃だった。一大会5本塁打をクリアしあっさり“6”に更新した。

 2017年99回選手権大会準優勝広陵の中村奨成だ。記録破りの打力に強肩、俊足。資質抜群の史上最強キャッチャーだ。入学時から超高校級と注目を浴びていたが、3年最後の夏は広島大会では右手首に死球を受け、途中までは9打数1安打と振るわなかった。しかし負傷が癒えた準決勝、決勝と2試合連続のホームランと本領を発揮して甲子園に乗り込んできた。

 さあ全国の舞台で真価が問われる。181センチ78キロとスリムな3番打者だ。第一印象では、これまでの超高校級の飛距離を誇る、例えば清原やゴジラ松井秀喜よりサイズは小さかった。特に捕手でホームラン打者といえば香川伸行らドカベンタイプを連想するのでスマート&スピーディーの中村は新鮮味にあふれていた。右打ちでスタンスはスクエア、トップの位置は肩の少し上でバットはグリップエンド一杯、左足を滑らせるように低く上げタイミングを取る。

◇ ◇ ◇

 第1号は1回戦0-2と中京大中京にリードを許した6回裏二死走者なしから生まれた。右の香村篤史の高めの速球を捉えた。ガツンとたたき出された打球は勢いを増し上昇。マンモス甲子園の最深部、それも右中間スタンドに吸い込まれた。この一発にはすごみを感じた。

 まずカウントだ。3ボール2ストライク、変化球も意識しつつ速球のタイミングで待ち、際どいコースは手を出さなければならず、長打狙いの強振はできない。この状況で軽々とスタンドまで運んだ。しかもセンターから右、高校生の右打者でなかなかあそこまで飛ばせない。まるで清原だ! しかも中京大中京の勝ちパターンの継投策、先発左の磯村峻平から香村への代わり端を打ち砕き逆転への布石となった。

 第2号もこの試合、1号で流れを作りイケイケとなった8回表8-2とリードして2死走者一塁1ボールからの2球目。左の伊藤稜の外側の高めの速球、グッと踏み込んで逆らわずに強く振り切った。

 弾道を追うと首を伸ばして見上げるほど高ーく舞い上がった。自然と口が開く。滞空時間も長ーい。落下地点が驚きだ。そそり立つ黄色のライトポールの内側だった。

 「あーっ!」

 一瞬空いた口がふさがらない。右打者が45度右に打ってこれだけ飛ばす。私が相手なら『どうにもしようがない! 恐ろしい!』と自信を喪失するに違いない。

 第3号は2回戦3-1と秀岳館をリードして9回の表1死二塁三塁の初球。左腕田浦文丸のど真ん中の速球を迷いなく強烈に振り切った。またも外野の最深部へ。今度は左中間に突き刺さった。「カッキーン!!」という金属の残響をすぐに大歓声がかき消した。一撃で勝負を決めた。

 この場面は秀岳館がなぜ敬遠しなかったのかと不思議だった。それは恐らく2死なら勝負を避けたが1死ゆえもう一つアウトが欲しかった。中村だけにスクイズなど仕掛けはない。ならば一塁が空いていることを頭に置きながら厳しく攻めよう。ところがコントロールミスで中に入ってしまった。それを逃さず仕留めた必殺の一撃だった。

 第4号は3回戦4-4の無死一塁、ツーストライクから聖光学院の右腕斎藤郁也の外寄りの高め、鋭いレベルスイングで捕まえた打球は3号とほぼ同じ軌跡を描いて左中間の大観衆の中に消えた。

 これは投げた斎藤の失投ではない。捕手佐藤晃一のリード通りだった。ミットは真ん中高め、追い込んで要求通りの釣り球を思い切り腕を振って力強く投げ込んだ。それより少し外側だったが相手の意図した配球を打ち砕いた。鮮やかすぎる3試合連続は決勝ホームランだ。前の打席では同点タイムリー、勝負強さに舌を巻く。

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