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【スポーツ随想】高校野球監督資格、見直す必要あり プロがアマを圧迫する可能性

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【スポーツ随想】高校野球監督資格、見直す必要あり プロがアマを圧迫する可能性

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明桜高野球部の監督に就任した八木氏  甲子園に春夏合わせて13回出ている秋田の強豪、明桜高(旧秋田経法大)野球部の監督に、元プロ選手の八木茂氏(60)が就任するという。

 八木氏は早大、東芝を経て1980年、内野手としてドラフト3位で阪急(現オリックス)に入り、その後、阪神に移籍し84年に引退している。

 日本学生野球協会が4日に開いた資格審査委員会で元プロ227人のアマ資格回復が認定され、1月に認定された208人と合わせて、いっぺんに435人が資格回復した。

 八木氏はその新制度での第1号監督だが、何とも手回しがよすぎる。認定前から話がまとまっていた、と思われても仕方ない。

 それにしても、この門戸の広げ方は尋常ではない。これまで元プロが高校野球の指導者になるには、教職課程を取って、2年間教壇に立つ必要があったが、新制度ではプロ側1日アマ側2日の、たった3日間の研修で済むようになった。

 明桜のような甲子園に出て当たり前、と思われている私立強豪校にとっては、多少金はかかっても、宣伝材料にもなる元プロ監督を容易に迎えられる時代になった。

 いま「2年間コース」で資格回復を目指している元プロがいるとしたら「そりゃないよ」といいたいだろう。

 ある高校の監督は苦笑いした。「高校の監督は高い技術の野球だけ教えればいい、というものではない。下手な子のケアも必要。元プロとして“なんでこんなことができない”とカッとなったら、やっていけない」

 さらに「なんでウチの子を試合に出さない」とクレームをつける保護者や、口うるさいOB会との対応も監督の仕事になる。高校野球には「人間教育」も不可欠。「だから高野連は2年間教壇に立て、といっていた。この規制緩和は性急すぎて納得できない」と監督は続けた。

 体育学科のある大学の野球部などは、試合に出るレギュラーか、出るチャンスを狙う予備軍が約半分、後の半分近くは体育教員と高校野球の指導者を目指して、指導方法を学んでいるという。

 オーソドックスなコースを歩んで監督を目指す学生たちにとっても、たった3日の研修で元プロに幅を利かされては迷惑もいいところだろう。

 官と民が同種の事業を行うと、公正な競争が確保されず民間が不利益を被ることが多い。そんな状態を「民業圧迫」という。プロ、アマが日本野球発展のために垣根を取り除くことはいいことだが、やがては全国で約4000校の監督の座は取り合いになり、アマ側が圧迫されないとも限らない。もっといい方法がないか、考え直す必要がありそうだ。 (作家・神谷光男)

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