【新・悪韓論】“左翼の巫女”の呪いに覆われた国 繰り返される「韓国型公憤の興奮劇」

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は6日、「来年4月退陣」の意向を表明したが、野党は9日には弾劾案を採決するという。弾劾が不成立なら大混乱、成立しても次は憲法裁判所の審議だから、また混乱は確実だ。

 韓国型の「公憤」とは燃え上がったら最後、「憤怒する側は絶対正しい」「憤怒の対象は絶対悪い」で、途中で「本当にそうなのか」と見直すことはない。他の事案(=例えば、今なら経済課題)に目をやることもほとんどない。暴走あるのみだ。

 今回の「公憤」の裏には「左翼の巫女(みこ)」の活躍がある。野党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表だ。「反朴」ながら保守性向濃厚な朝鮮日報(11月10日)が、こう報じている。

 《秋氏は「崔被告と『心霊対話』をしていた大統領」「大統領が韓国を邪教に奉献」「崔被告は悪魔と口づけしているだろう」と度を越した毒舌をバラ巻いてきた。今度は「(大統領が)注射が気分よくて意識がもうろうとして、国政を指揮できないのなら、そのまま退陣すべきだ」と主張した。批判ではなく呪いだ》

 つまり「左翼の巫女」というわけだ。

 彼女が呪いの言葉を声高に述べ始めた時期は、同党の大統領候補である文在寅(ムン・ジェイン)氏の「対北お伺い」スキャンダルが出たときでもある。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下、国連での北朝鮮人権決議にどう対応するかが課題になった際、大統領府の秘書室長だった文氏は「北の意向を聞いてみよう」と提案し、韓国は結局、「棄権」した経緯がある。

 呪いの言葉で「朴槿恵と崔順実が絶対に悪い」の「公憤」に火が付き、「対北お伺い」の件は消えてしまった。

 韓国の民も、日本のワイドショーファンも、「巫女」である崔被告が大統領を「操り人形」にしていたと思っている。

 しかし、崔被告を巫女だとしたのは「左翼の巫女」なのだ。事件が拡大してから、もう2カ月になろうとするのに、出てくるのは崔被告の利権あさりの件ばかり。彼女のどういう指示で、国の政策がどう変わったのかは、まったく出てこない。

 「日韓慰安婦合意も崔順実の指示だったはずだ」「開城(ケソン)工業団地の撤収も」「日韓軍事情報保護協定も…指示だったはずだ」と、推測によるアジばかりだ。

 「公憤」で燃える民は、デモクラシーとデモンストレーションの区別もつかないまま、アジを信じているようだ。そして、「水に落ちた犬はたたけ」を“よし”とする国民性が躍動している。

 この先に待ち受けているのは、反米・反日・従北の政権である可能性が高い。

 その政権が経済政策を決定的に誤ったとき、国民は「すべては大統領のせいだ。私はあんな大統領を初めから支持していなかった」と“韓国型公憤の興奮劇”を、また見せてくれるに違いない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。