【新・悪韓論】財閥に迫る新政権の脅威、ロウソクデモ隊がオーナー邸囲む日近い 公取委は先取りゴマスリ開始

 韓国の司直は、常に「強い者の番犬」だ。裁判所も検察も、少し前までは「朴槿恵(パク・クネ)政権の飼い犬」と言われていたのに、ロウソクデモで力関係が変わるや「左翼勢力の走狗」に転じた。司直の一翼である公正取引委員会が「45大財閥総帥一家の私益騙取(へんしゅ)調査」に乗り出した(中央日報、17年3月28日)のも、「次の政権集団」の顔色を見ての行動だろう。

 摘発された財閥は課徴金程度で済むのかどうか。確実視される「文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党政権」の対財閥政策がどんなものかを、最初に示す事件になるだろう。

 文氏は、次から次へと公約を述べている。どれもこれも支持層を固めて、票を伸ばす公約ばかりだ。「公務員80万人の新規雇用」は、若年失業者が大喜びする公約だ。

 もっとも、警察官、教員も含めて公務員50万人強の国で、80万人も公務員を増やしたら、どんな仕事をさせるのか。文氏は「公務員の政治活動保障」も公約している。となると、ロウソクデモの要員だろうか。

 ともかく、次から次へ公約を出しているのに、財閥について直接言及していないことが不思議だ。

 ロウソクデモの参加者たちは、サムスングループの事実上経営トップである李在鎔(イ・ジェヨン)被告(現在は拘留中)の似顔を描いたボールを蹴り、同氏の写真に石を投げつけた。

 韓国流に言えば「既に“民心”は『財閥は解体しろ』と述べている」状況なのに、文氏は何も言わないのだ。

 ただ、共に民主党の議員は、李被告を国会で喚問した際、「早く経営権をよこせ」と露骨に要求した。文氏の意向通りに動いた特別検察官は「サムスン、SK、ロッテは、朴容疑者と崔順実(チェ・スンシル)被告の共犯」と認定した。

 そして、共に民主党の政策委員会は「朴容疑者・崔被告の不正取得財産の国家への還収を進める」との政策方向を明らかにしている。「共犯」である3つの財閥が“被害軽微”でいられるはずはない。

 では、それ以外の財閥は無傷で済むのか。いや、済ませないために、公取委が次の政権へのゴマスリを始めたと見るのが至当ではないのか。

 財閥総帥一家の私益騙取の代表的手口は、一族だけの出資によるペーパーカンパニーを設立し、翼下企業で使う消耗品を、すべてペーパーカンパニーを通じて購入し、市価より高く翼下企業に卸す。そこに集まった資金で、新規企業を設立し、翼下企業の高収益部門を移管させる。

 どこの財閥オーナーも、そんなことをしているようだ。これまでは、摘発されると、オーナー一族ではなく、翼下企業が「不公正取引をした」として課徴金の対象になったが、これからもそうだろうか。

 ロウソクデモ隊が、ナチスの突撃隊のように財閥オーナーの私邸を取り囲み、「経営から手を引け」「私財を国庫に貢納しろ」と叫ぶ日が近いのかもしれない。

■室谷克実(むろたに・かつみ)1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。