【新・悪韓論】ネットでデマ&罵倒!大統領選はブルジョア左翼vs従北派左翼の泥仕合「沈んでいくヘル・コリア」

 韓国大統領選(5月9日投開票)は、15、16両日の候補者登録申請(=日本の公示)を前に、第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)元共同代表の支持率が急上昇し、独走状態だった左派系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表に並んだ。

 2者対決となった場合は、安哲秀氏が優位との調査もある。いよいよ、「新しい国技」と言うべき「ネットを利用したデマによる罵倒合戦」が本格化する。

 しかし、韓国人がいう「ダイナミック・コリア」-つまり、いつ何が起きて風向きが激変するか、予測不能な国民性がある。とりわけ今回は、米国と北朝鮮との対決が横にある。投開票が終わるまで、何があるか予断は許されない。

 世論調査を見れば、支持率の急変は、文氏が共に民主党の正式候補に決まった直後から始まった。同党内で「文氏ほど過激でない候補」だった、安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事の支持層が、安哲秀氏支持に回った。

 そして、安哲秀氏は、そのタイミングに合わせて保守層取り込みの発言をした。

 「朴槿恵(パク・クネ)前大統領の赦免検討」をにおわせ、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」は「反対」の基本的立場を変えたわけではないが、「米国との合意は政権が変わっても受け継がれる」と述べ、対処姿勢を修正した。

 保守系の有力候補がいないなか、「従北派左翼」の文氏を拒絶する人々が、「マシな候補」として安哲秀氏支持に流れたのは間違いない。

 最大の発行部数を持つ保守系紙「朝鮮日報」が安哲秀氏に「中道の…」との冠詞を付け始めたのも、「従北派の左翼にだけは政権を渡してはならない」の一念だろう。

 もちろん安哲秀氏は「中道」ではない。日本で言えば“杉並ブルジョア左翼”だ。東京・山の手の高級住宅地に住む大金持ちなのに、頭の中は真っ赤というタイプだ。

 何しろ、文氏と、共に民主党の共同代表を務めたことがあり、前回大統領選では従北派の文氏に勝ってもらうために出馬を取りやめたのだから。

 成功したベンチャー企業家出身者として、資産に関するスキャンダルは多い。とりわけ娘への生前贈与が爆弾だ。

 一方の文氏には、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で、(1)国連の北朝鮮人権決議案にどう対処すべきか、北に“お伺い”を立てた(2)従北派の公安事犯に異例の「2回の恩赦」を取り計らった-過去がある。そして、「権力を利用した息子の就職疑惑」というスキャンダルを抱えている。

 安哲秀氏の勢いに慌てたのか、文氏は韓国紙のインタビューで、北朝鮮が核能力を高度化させた場合、THAADの配備を容認する考えを表明した。

 安哲秀氏が大統領に当選したら、共に民主党は“保守へ寝返った裏切り者”に大攻勢をかけるだろう。保守票に乗って勝利した大統領は、THAADに対する立場を再び変えることもできまい。逃げ場は「民心」に従い、財閥をたたき、反日に牙を剥くことしかなさそうだ。

 文氏が勝ったら…は、前回述べた通り。どちらにしても「沈んでいくヘル・コリア」への道だ。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。