【新・悪韓論】半島危機は「二の次」の愚 韓国の死活問題なのに…米中首脳会談でも“あさっての方向”に噛みつく

トランプ氏(右)と、習氏は「韓国は中国の一部だった」と話し合ったようだ=6日、米フロリダ州(AP)

 危機が近づくと、途端に「あさって」の方角にかみつき、喧々囂々(けんけんごうごう)と始めるのは、韓族の伝統なのかもしれない。

 韓族とは、その昔の「馬韓」「辰韓」「弁韓」の古代三韓を構成した民族であり、今日の韓国人の祖先だ。百済が滅びるときも、高句麗が滅びるときも、宗教がらみの論争があり、危機の本質への対処は二の次だった。

 ドナルド・トランプ米大統領と、中国の習近平国家主席が4月上旬に行った首脳会談では、一体何が話し合われたのか。いくつかのテーマの中で、北朝鮮問題がそれなりの比重を占めたことは間違いない。米中首脳会談で話し合われた北朝鮮問題が「韓国の死活」に関わることも明らかだ。

 しかし、韓国のマスコミは、米中首脳会談の中身にはあまり関心を示さないまま、2週間ほどして出てきた「トランプ米大統領によると、習近平主席は『コリアはかつて中国の一部だった』と述べた」とのニュースに猛然とかみついた。

 そして、お得意の自己立論-自己反問-自己解明を繰り返しつつ、「『コリア』が中国の一部だったことはない」との捏造(ねつぞう)史を確認した。中国政府当局者が「韓国の民衆が心配することではない」と意味不明のコメントを発すると、それを勝手解釈して目下は満足しているようだ。

 『三国志』の中の「東夷伝」を精読すれば、高麗族は扶余(ふよ)系民族であり、韓族とは言葉からして違ったことが分かる。その高麗族が、平壌を首都とする国をつくっていたということは…。いや、漢字を読めない国民には、いくら説明しても無駄か。

 韓国のマスコミは、マイク・ペンス米副大統領が日本で行った記者会見の中で、「東海」と言わず「日本海」と述べたことにもかみついた。ペンス氏が述べたのは「日本海を越えた向こうでの挑発」、つまり北朝鮮のことだ。

 それは、韓国にとっても重大事なのに、副大統領発言の内容ではなく、「東海と言わず日本海と言った」ことを問題にしたのだ。

 ペンス氏がオーストラリアに飛び、そこでまた「日本海」と言うや、聯合ニュースは「米副大統領、『日本海』と問題発言、『東海』表記要求にソッポ」(4月22日)との見出しで、ハングル1000字近い記事を配信した。見出しだけで一目瞭然、韓国人にとっての問題は発言の中身ではない。「日本海」と言ったことなのだ。

 こんな報道を読んでいれば、国民の目はどんどん「あさって」の方を向いていくだろう。いや、日本の一部のメディアも同じような愚を続けているが…。

 李王朝が滅びるとき、日本からの書状の内容ではなく、署名に「皇」の字が使ってあるから認めないという話になったことを思い出す。韓族の常識では「『皇』の字は、中国の皇帝しか使ってはならない貴字」であるからだ。この感覚こそ、形式は併合されていたり植民地であったわけではなくても、本質は「完璧な属国」だったことを示すのではないか。

 日本に向かっては上から目線で「歴史を直視しろ」と叫ぶ国民が、自らの歴史を学べず「あさって」の方向に牙を剥(む)き出し、また沈もうとしている。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。