【新・悪韓論】文大統領誕生で「暗くて赤い韓国」開幕 経済沈没は必至…日本には徴用補償要求か

 韓国大統領選が9日投開票され、極左の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表(64)が、第19代大統領に選出され、10日就任した。得票率は41・08%だった。「従北派」とされる文氏は、国連安保理決議を無視して「核・ミサイル開発」に猛進する北朝鮮との対話再開を掲げ、慰安婦問題の日韓合意を「間違い」と断言している。東アジアの平和と安定を崩しかねないリーダーの出現に、ドナルド・トランプ米大統領も警戒している。恐怖の幕が開いた「暗くて赤い韓国」について、ジャーナリストの室谷克実氏が迫った。

 「左翼のヒトラー」と言えるような人物が、隣国の大統領になってしまった。北朝鮮の党機関紙が投票前、文氏の当選に「期待」をにじませる論評を掲載したことが、すべてを物語る。日本にとっても、米国にとっても、この選挙結果は「最悪」だった。そして、韓国の国民も遠からず、「最悪だった」と思い知るだろう。10日朝方まで続いた従北派左翼の熱狂こそ、「暗くて赤い韓国」の幕開けを告げる前奏曲だった。

 新大統領になった文氏のことを、日本の多くのマスコミは「革新派」と言っている。だが、彼の選挙中の発言を追えば、「公共部門で81万人を新規雇用する」「公務員に政治活動の自由を認める」など、支持勢力の伸長を図るための施策には熱心だが、国の未来を切り開くような革新性は見えてこない。

 むしろ、文氏が国政の最大課題と位置付ける「積弊(せきへい)清算」とは、遡及(そきゅう)立法がなければ実現しないようなことが多い。「長期(左翼)政権をつくり、保守派を壊滅させる」といった側近たちの発言を併せ読めば、彼の意欲は「旧悪の掘り起こし」にあり、エスタブリッシュメント層への左翼勢力の「報復」こそ真意と読めてくる。

 文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の民情担当首席秘書官(司直の総括役)、さらには秘書室長(政権のナンバー2)として、いわば「真性の従北派」幹部に対し、異例の恩赦が2回も施されるよう取り計らった。そして、国連での北朝鮮人権決議の際は、「韓国はどうすべきか」と北朝鮮にお伺いを立てた張本人だ。「真性の従北派」に限りなく近いことは明らかだ。

 「真性の従北派」が大きな課題とすることは「在韓米軍の追放」だ。新与党になった「共に民主党」の理論グループも、それを口にしている。

 しかし、この問題には「国民世論」の壁がある。「安全保障は米国に任せる」が国民の大勢であり、文氏に投票した人々の多数派も、そうだと類推される。

 そもそも、国際政治は、それぞれの国家の総体的力量(=主として軍事力と経済力)がモノを言う。いくら“本音は従北”の左翼政権でも、国連決議に反するような北朝鮮支援には、にわかに踏み出せない。米韓軍事同盟も、条約と協定によってさまざまな縛りがある。トランプ氏が「それなら在韓米軍を撤収させるぞ」と言ったとしても、直ちに撤収が実現するわけでもない。

 そうした中で、日韓慰安婦合意の「無効」あるいは「破棄」の一方的宣言は、言うだけでいいのだから簡単だ。

 国民の喝采も浴びる。だが、日本政府は取り合わないだろうから、のれんに腕押しだ。文氏は盧武鉉政権下で「徴用被害者の補償問題」に熱心に取り組んだ。対日攻勢は、慰安婦より徴用が、いずれ前面に出てくる可能性が高い。

 韓国の国会法は「賛成が6割に達しない議案は本会議に上程しない」と定めている。新与党の議席は4割しかない。中道野党「国民の党」を引き込んだにしても、旧与党は4割を若干上回る議席を持つ。

 だから、文氏の選挙公約はほとんど実現しない。首相を選任しても、国会の承認を得られない事態が続きかねない。

 左翼政権は、そうした事態に手をこまねいているだろうか。

 反対派政治家の私邸をロウソクデモで取り巻く。それでもダメなら政治家の逮捕だろう。韓国に叩いてもほこりが出ない政治家など存在しないだろうから。

 財閥イジメも、行政レベルでいろいろできる。

 「財閥に与えていた特恵を中小企業に振り向ける」などと言うのは簡単だが、実効が上がるかどうか。新政権の財閥イジメにより、韓国の経済は沈下していくだろう。その中で、新与党に連なる人脈が利権をあさる-「暗くて赤い韓国」の新風景になるだろう。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。