韓国、正恩氏の「斬首作戦」検討 地元メディアは文政権批判「国民5000万人が人質」

4日早朝に実施された韓国軍の弾道ミサイル発射訓練(韓国国防省提供・共同)

 【ソウル=名村隆寛】北朝鮮による6回目の核実験に対し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「最大級の反撃措置を取る」と表明した韓国で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を狙った「斬首作戦」が検討されている。

 宋永武(ソン・ヨンム)国防相が4日の、国会国防委員会で言及したもので、宋氏は斬首作戦について「今年12月1日付で部隊を創設し戦力化が可能」との見解を示した。

 また、韓国国防省は4日、中断状態だった米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について、配備済みの発射台2基に加え、近く4基を臨時に追加配備することを発表した。同省や環境省などによる南部の慶尚北道星州(キョンサンプクトソンジュ)郡の配備用地への環境影響評価が完了し、環境省が「条件付き」で配備に同意したため。

 配備される4基は、近くの米軍基地で保管状態が続いていた。

 文在寅大統領は当初、配備に反対する国内世論を意識し、追加配備に慎重だったが、北朝鮮が7月末に弾道ミサイルを発射し、方針を転換。3日の核実験が配備を決定づけたようだ。

 国防省は国会での報告で、米韓が米軍の戦略爆撃機や原子力空母の朝鮮半島への派遣などを協議中であることも明らかにした。

 一方、韓国の陸空軍は4日、北朝鮮への警告として弾道ミサイル「玄武」やF15戦闘機を動員し合同訓練を行った。核実験があった北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)までの距離を想定し、日本海上に設けた標的に長距離空対地ミサイルを発射した。

 文大統領はこの日、北朝鮮問題をめぐり安倍晋三首相と電話会談をした。ただ、日米首脳が3日の核実験の前後に2度の電話会談で連絡を密にしていることと比較し、韓国メディアは、文政権の対応を批判している。

 ■韓国主要紙が強い懸念

 韓国の主要各紙は4日、6回目の核実験強行により現実となった北朝鮮の核保有に、強い懸念を示した。

 朝鮮日報は社説で、「短距離ミサイルは弾頭の大気圏再突入の技術が不要なため、金正恩は即座に韓国を攻撃できる。韓国に住む5000万人の国民全員が、北の核兵器の人質になってしまった」と指摘した。さらに、米本土を攻撃する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術も、「時間の問題だ」とした。

 同紙は「韓国政府が対北攻撃に反対しており、米朝交渉が実現する可能性が高い」とし、核・ミサイルの凍結を条件に米国が対北制裁を緩和し、米韓合同軍事演習を中断する可能性にまで言及。その場合、「北朝鮮は完全な核保有国となり、金正恩に韓国の運命が左右される状況が現実となる日は近い」と懸念した。

 一方、東亜日報の社説は、「もはや北朝鮮は核弾頭を搭載した核ミサイルを量産し、実践配備だけが残った。脅威が現実であることを示した」と強調。北朝鮮が今後、核放棄の約束をせず、「『核保有国』の腕章をつけて交渉に臨むだろう」と分析した。