【朝日新聞研究】「慰安婦大誤報」から進歩しない確認作業 投稿訂正“同一構造”で校閲体制に疑問

8月1日の朝日新聞に掲載された訂正記事

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 朝日新聞の社会面の右下隅には、「訂正して、おわびします」欄があって、しばしば掲載されている。その中には些末な誤りもあって、こんな間違いならもっとたくさんあるのではないかと思えてくる。しかし、8月1日のそれは、極めて重大なものであった。

 重要であるから全文を以下に引用する。

 《▼6月19日付オピニオン面「語りつぐ戦争」の投稿「引き揚げの女性に中絶手術」で、「旧友に聞くと、『今おめでたの方はいませんか。ご主人であろうと、またソ連兵、朝鮮人に犯されての子でも、今から育てるのは苦労です。思い切って見殺しにすることです』と女性たちに呼びかけたのだそう」の「ご主人であろうと」を削除し、「見殺しにすることです」は「身を軽くすることです」に訂正します。▼オピニオン面=「確認に一層注意します」》

 オピニオン面には、投稿者は旧友から聞いた話として投稿したものとして、次のように記されていた。

 《声編集では、掲載前に公的資料や出版物、過去の新聞記事などで確認作業をし、全体として投稿内容は信用性が高く、終戦直後の悲惨な実情を語り伝える貴重な証言であると判断し、掲載しました》

 《掲載後に読者から内容に疑問が寄せられ投稿者に改めて確認したところ、記憶違いの部分もあったとして削除・訂正して欲しいとの申し入れがありました。声編集の掲載前の確認も十分ではありませんでした》

 この訂正のやり方には、大きな疑問を感ずる。

 まず、オピニオン面の説明と社会面の訂正と、同一の投稿に関することなのに、分断されて分かりにくくなっている。本来であれば、元の投稿の全文を再掲載して、合わせて社会面における大型記事として、掲載すべきである。

 この投稿は6月19日で、訂正の掲載が8月1日であるから、その間の再確認の経緯に関して、読者からの疑問と、それに対する投稿者の返答とを、詳しく説明する必要がある。

 また、朝日側で確認作業を行ったにもかかわらず、なぜ確認が十分でなかったのかも、詳しく説明する責任がある。

 この投稿訂正問題が、どうして重要なのかといえば、それが例の「慰安婦報道」の大誤報と同一の構造であるからである。つまり慰安婦報道の反省は、まったくなされていない。

 今回のタイトルこそ「訂正して、おわびします」「確認に一層注意します」だが、2つの記事の中には、おわびの文言は見当たらない。

 9月6日朝刊に掲載された「英誌の世界大学ランキング」の記事では、中国の「清華大学」が「精華大学」と表記されていた。私でも一見してすぐに分かった。朝日新聞の校閲体制は、一体どうなっているのだろう。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、夕刊紙や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。