【新・日米同盟の時代】真に対等な日米関係への転換 北や中国がもたらす危機をチャンスに変えるのは今

安倍首相(左)と、トランプ大統領の相性はいい

★(4)

 「日米同盟」という言葉が久しく使われてきたが、日米間の安全保障上の協力体制が、真に同盟の言葉に値するものかどうかは甚だ疑わしい。

 日本政府の公式見解によれば、日本防衛の主力は米軍であり、これを補完するものとして自衛隊は位置付けられている。第二次世界大戦の敗戦国である日本は、サンフランシスコ講和条約発効後も、純軍事的に見るならば米国の被保護国であり、属国的な立場に甘んじてきた。

 日本が経済力をつけてきた1970年代から、米国には「安保ただ乗り論」という対日批判が存在してきた。一方で、米国内には日本の軍事大国化への懸念があり、日本国内の反対勢力の影響もあり、いびつな日米関係が維持されてきた。

 ドナルド・トランプ米政権は、同盟国への過剰な防衛コミットメントを削減し、国内の経済発展に予算を充てたいというのが根本方針である。

 ただし、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどの危険な国も存在するので、同盟国を一挙に見放したりはしない-という慎重な態度をとっている。だが、長期的には米国の同盟国へのコミットメントを適正規模に減らしたいのが本音である。

 日本としても、日米経済交渉で常に日本側が過剰な妥協を強いられてきた背後には、日米安保の片務性があることは認識している。軍事的に被保護国の立場にある以上、経済摩擦が起きたときには、日本は米国に妥協を強いられるのだ。

 真っ当な経済交渉を行おうとすれば、「自分の国は自分で守る」という当たり前の体制を整えなければならない。自主国防が主であり、足らざる部分を日米同盟で補うのが健全な姿である。

 北朝鮮や中国の脅威に目覚めた日本では、ようやくそういった機運が盛り上がってきた。

 憲法9条は戦勝国により日本に課せられたハンディキャップであり、現代の不平等条約に他ならない。憲法9条あるが故に、米国が日本を守るという片務的な日米安保条約が存在し、その延長線上に日本を属国化している「日米地位協定」が存在するのだ。

 日米地位協定の治外法権を改正しようと思えば、日米安保条約をより対等なものに改正する必要がある。そして、日米安保条約を改正しようとするならば、まず憲法9条を改正しなければならない。反日左翼は日米地位協定の不平等性を指摘するが、その大もとは実は憲法9条なのである。

 真に対等な日米関係への転換を成し遂げるのに、現在は最適のタイミングである。米国にはそれを受け入れる大統領が誕生し、日本側にはそれを実行できる強いリーダーシップを持った首相が存在する。

 この2人のリーダーのケミストリー(相性)は大変良好である。北朝鮮や中国がもたらす危機を、日本のチャンスに変えるのは、今である。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問、明治大学などで教鞭をとる。現在、拓殖大学客員教授。著書・共著に『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社)、『希望の日米新同盟と絶望の中朝同盟』(徳間書店)など。