このサイトは、パーソナライズ機能等を活用したサービス提供のためクッキー(cookie)を使用しています。このバナーを閉じるか、閲覧を継続することでクッキーの使用を承認されたとみなされます。 詳細はこちらをご確認ください。

【日本の解き方】トランプ氏の「インド太平洋」発言、対中外交戦略の大きな成果に 北朝鮮への対応でも議論進む

 11月10、11日に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議では、北朝鮮問題はどのような構図で話し合われたのか。そして日本にとって成果は見いだせたのだろうか。

 トランプ米大統領のアジア歴訪は、日本からスタートした。大統領専用機が米軍横田基地を使ったことについて、外交上問題があるという指摘が一部の左派系論者からあった。筆者が出演した関西のテレビ番組でもそうした意見が出ていた。

 これに対して、筆者は異論を唱えた。横田基地への到着、その後のゴルフ場や都心へのヘリ移動、そして横田基地からの離日というトランプ氏の行程は、すべて「横田空域」の中である。平時であれば、このような行動はないだろうが、今は「準戦時体制」と思ったほうがいい。北朝鮮からの対話を引き出すために、最大限の圧力をかけるときである。

 そのためには、北朝鮮がトランプ氏に対して一切挑発できない状態にすることが望ましい。これは外交上の圧力にもなる。

 このトランプ氏の姿勢は、韓国でも同様で、真っ先に訪れたのは在韓米軍だった。

 米軍がこの時期に日本海で空母3隻を配備したのも、北朝鮮への圧力である。

 これは、過去に米国が軍事行動をとった際と同じ程度だ。1986年のリビア攻撃の時は空母3隻、2001年のアフガニスタン空爆の時は空母4隻が出撃している。今回、米軍の空母3隻は、日本の海上自衛隊の艦船との共同訓練も行った。

 トランプ氏は中国を訪問した際、習近平主席とも北朝鮮問題を話し合ったはずだ。トランプ氏はツイッターで「中国の習主席が対北朝鮮制裁を強化すると述べた。彼らの非核化を望んでいると言っていた。進展している」と記している。

 APECでは、トランプ氏とロシアのプーチン大統領の間で非公式な会合があり、シリア問題について話し合ったようだ。

 安倍晋三首相もAPECをうまく使った。中国、ロシア、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、ベトナム、ペルー、インドネシア、マレーシアの各国と2国間で首脳会談を行った。中国とは、安倍首相の訪中や習主席の来日といった外交日程のみならず、朝鮮半島の非核化や国連安保理決議の完全な履行についての連携など、北朝鮮問題についても話し合っている。

 ロシアとは、北方領土問題で双方の法的立場を害さない形で来春に向けてプロジェクトを具体化するための検討の加速に加えて、対中国と同じく朝鮮半島の非核化や国連安保理決議の完全な履行への連携など北朝鮮問題も議論した。

 安倍首相は、インド太平洋での自由貿易圏という構想を持っていたが、トランプ氏は完全にそれに乗っている。アジア歴訪の中で、「インド太平洋」との言葉を頻出させ、APECでの演説でも使った。

 日本は北朝鮮問題への対応と、インド太平洋で中国への対抗という大きな成果を得た。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)