慰安婦問題で「日本の謝罪、補償を」 国連人権理事会、中朝韓の要求をそのまま列挙

 【ジュネーブ=三井美奈】国連人権理事会の対日作業部会は16日、日本の人権状況について218項目の勧告を盛り込んだ暫定報告書を採択した。慰安婦問題では、中国の主張に沿って、日本に対する謝罪と犠牲者への補償を求める要求が明記された。

 同報告書は14日に行われた対日作業部会の審査で106カ国が行った勧告や意見をほぼそのまま列記した。法的拘束力はない。中国や韓国は14日に慰安婦問題を集中的にとりあげ、国連の公式文書に残すことで日本に対する外交的圧力を狙ったとみられる。

 同報告書は「歴史を直視し、慰安婦に対して誠実に謝罪し、補償を行うべきだ」とする中国の要求をそのまま記載した。慰安婦問題ではこのほか、「次世代に歴史的真実を伝える努力をすべきだ」とする韓国の要求が盛り込まれた。「『性奴隷』を含めた人道に対する罪への法的責任と誠実な対応」を求める北朝鮮の要求もそのまま記された。

 このほか、米国の要求に沿って「報道の自由」を確保するため、政府の放送局に対する電波停止権限を規定する放送法4条の再検証や撤廃を促し、独立した放送監視機関を置くべきだという勧告を明記。「報道の自由」では、オーストリアも法的措置の見直しを勧告した。北欧やフランスなど欧州諸国は、死刑廃止を勧告した。

 日本は今後、勧告についてどの項目を受け入れるかを表明する。その結果を踏まえ、来年3月の国連人権理事会で最終報告書を採択する。

 ■外務省「国連総意でない」

 外務省は16日、国連人権理事会の作業部会がまとめた人権状況に関する日本への勧告について「よほどの事実誤認がない限りは、各国の代表が発言した内容はほぼ全て勧告に盛り込まれる。国連の総意を示したものではない」と冷静に受け止めている。

 ただ、14日の作業部会で慰安婦問題に言及したのは韓国、中国、北朝鮮の3カ国で、国連を対日批判の場に利用しているのは明らかだ。韓国は、慰安婦問題について「国際社会での非難・批判は控える」ことを確認した日韓合意があるだけに、5年前の前回審査より批判のトーンを抑えたが、「市民社会は受け入れられない」などと国民感情を利用した持論を展開した。

 勧告数が218に及んだとはいえ、日本がその勧告全てを受け入れる必要はなく、外務省の担当者は「内容を精査してから判断する」としている。